子どもが育ち、いざ親元から旅立ってしまうと寂しいものがあります。空の巣症候群(からのすしょうこうぐん)ですね。親と子であっても、適度な距離感を保つには幼い頃からどのように我が子と接したらよいのでしょうか。
『一人でできる子が育つ テキトー母さん流 子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話します。
空の巣症候群とは
“空の巣症候群(からのすしょうこうぐん)”とは40代~50代の女性に見られる抑鬱症状。子育てが終わった後、なんとも言えない空虚感にさいなまれる状態をさします。
子どもが成人し、家を出ていくと残されたのは夫と自分だけになります。教育費は必要なくなりお金にも余裕ができ、時間は全て自分のためだけに使える状況。それなのに…。
昔、子育てに追われ一切自分の好きなことに時間を割くことが出来なかった時代から比べると、“とてもラッキーな環境”になったのにも関わらず、世話をしたり構ってやったりする相手がいなくなり、「自分存在価値がなくなった」とまで思い詰めてしまう、そんな心の状態になります。
空の巣症候群に陥りやすい7つのタイプ
空の巣症候群に陥りやすいタイプは?
- 自分の存在価値は子どもを通してしか見つからない
- 子どもが自分の出来栄え=作品だと思っている
- 子どもを自分の所有物だと思っている
- 自分のことはすべて犠牲にして子どもを優先にしている
- 子どもを通してしか自分の友人がいない
- 子育て以外にやることがない。自分の趣味がない
- 人づきあいが苦手で家にいることが多い。子どもとしか向き合っていない状態
空の巣症候群に似た気持ちとは?
アルコール依存症の夫の世話をする妻
アルコール依存症の夫。いつまでも依存症から脱却できない原因が妻であるケースがたまに起こるそうです。夫のことを一番心配しているのは外ならぬ妻なのに…。
その心理は…
妻は「何とか夫にお酒を止めさせたい」と一見、願っているのですが、深層心理の中に「この人の面倒を見ることができるのは私だけ。もし、依存症が治ってしまったら尽くしてやれる相手がいなくなる」と思っているのです。
夫の世話を焼くことだけが妻の存在理由となっている状態です。
だから、治らないようにお酒を欲しがる夫に「ダメです」と言いつつも、「だったら一杯だけ」と飲ましてしまうのです。そして妻は自分の居場所を獲得します。
母と子の共依存=「母子カプセル」問題
“母子カプセル”という言葉があります。“親子共依存状態”。子どもが成長していくことを喜ばしく思いつつも、心の片隅では「いつまでも私に世話をやかせる赤ちゃんのままでいて」という矛盾した気持ちが起こってしまうのです。
子どもがもう自分自身で出来るようになっているのに、親が食べさせてやったり、口を拭いたり、着替えをさせてやる行為を親自身がいつまでも止められないのです。
これが母親だけに留まらず、子どももそれを敏感に察し伝染し、ママのねじれた期待に応えようと子どものままでいて、ある意味“母親の仕事”を増やします。
けれども、これは健全な親子関係ではありませんね。