心に響く芯を持った名フレーズの数々も大きな魅力!

こうした"楽しさ"や"自由奔放さ"に加えて、森雪之丞アニソンの魅力における大きな柱になっているのが、聴く者の心にストレートに飛び込んでくる芯のあるフレーズの数々です。

アニメ作品に登場するヒーローの勇姿やヒロインの可憐さを見事に表現し、メッセージ性の高い歌詞を生み出す、その確かなテクニックも大きな聴きどころ。

そういった言葉の素晴らしさは、こちらも森雪之丞さんの代表作といえる『キン肉マン』における歴代オープニング曲の歌詞を見てみると、とても分かりやすいと思います。

たとえば、「ああ 心に愛がなければ スーパーヒーローじゃないのさ」(『キン肉マン Go Fight!』より)、「反則に傷つき 流れた赤い血も マットで勝利の Vを描く」(『キン肉マン旋風』より)、「救うために傷つくのが友情だから」(『ズダダン! キン肉マン』より)など。

普段は情けなくてダメダメな超人なのに、敵の卑劣な反則殺法に屈することなく"火事場のクソ力"で奇跡の逆転勝利を掴み取り、仲間たちとの"友情パワー"を武器に強大な敵を次々に打ち砕いていくキン肉マンの姿が……引いては、『キン肉マン』の作品性そのものがここでは見事に描写されています。

こうした熱量が込められたメッセージ性の高い歌詞と前述したような楽しくて自由奔放な歌詞を同時に作り出してしまえるところに、森雪之丞さんの才能の凄さを垣間見ることができるでしょう。

何といっても、『キン肉マン』のオープニング主題歌で、これだけ雄々しい歌詞を書いている一方で、一転してエンディング曲の『キン肉マンボ』や『肉・2×9・Rock'n Roll』では、コメディタッチでコミカルな詞世界を作り上げてしまうのですから、本当にその言葉は変幻自在!

こうした振り幅の大きさも、森雪之丞さんの歌詞世界を味わう上での楽しみどころだと思うのです。

数十年の時を経ても決して色あせない言葉が素晴らしい!

何より、森雪之丞さんが凄いと思うのは、その言葉が数十年の時を経ても少しも輝きを失わないところです。

こうして昔のアニソンを振り返ってみても、ハッとさせられるような発見があり、斬新なアイデアの数々に驚かされる、そして、その言葉がグッと心に響いてくる。だからこそ、森雪之丞さんが作ったアニソンや歌謡曲は今も歌い継がれているのです。

"アニメ"というジャンルのみにフォーカスして見てみても、様々なアニメ作品や声優さんによって、森雪之丞さんが生み出したアニソンや歌謡曲はカヴァーされ続けています。

例えば、『WHITE ALBUM』のキャラクターソングで斉藤由貴さんの『悲しみよこんにちは』が、『爆裂天使』や『そらのおとしもの』で『不思議! Tokyoシンデレラ』(トリビアルな声優エピソードですが、岩男潤子さんは、この曲を歌っていたアイドル・グループ、セイントフォーの元メンバー!)が、或いは『らき☆すた』で『CHA-LA HEAD-CHA-LA』がカヴァーされたように、今も歌い継がれる森雪之丞ソング。

これは即ち、森雪之丞さんの紡ぎ出す歌詞には、常に普遍的なポップ・ミュージックの魅力が備わっているということなのでしょう。そして、その魅力はいともたやすく時代を超えてみせ、あらゆる世代の人に愛され続けているのです。

還暦を越えた今も精力的に作詞家として活動を行い、沢山のミュージシャンや作品に歌詞を提供している森雪之丞さん。そのオリジナリティーに溢れた言葉で、音楽の世界を色鮮やかに彩り、これからも名曲を生み出し続けて欲しいですよね!

都内在住の極々平凡なサラリーマン兼、アニメ、音楽、プロレス、映画…と好きなものをフリーダムに、かつ必要以上に熱っぽく語るBLOG「さよならストレンジャー・ザン・パラダイス」管理人。永遠の"俺の嫁"である「にゃんこい!」の住吉加奈子さんと共に、今日も楽しいこと、熱くなれることを求めて西へ東へ。