「通常、男の子だと、思春期がくると25~30センチくらい背が伸びて、成長が止まります。しかし、思春期が1年、2年と早くきてしまうと、1年で5センチ、2年で10センチ低いところからの伸びとなるため、最終的な身長も低くなってしまう。したがって、思春期早発の子は、低身長になることが多いのです」

女の子の平均では、12才半ば頃に初潮が始まる。しかし、早い子では7才くらいで初潮を迎える場合もあり、そうなると背が伸びなくなってしまう。そこで、そういった子どもに対しては、性腺抑制療法というホルモン治療を行い、思春期を遅らせる方法をとるという。

“睡眠不足”が思春期を早めている?

「なぜ思春期が早くきてしまうのか、その原因はわかっていません。よく言われているのは、日本人の思春期が昔と比べて徐々に早くなっていて、それには“睡眠”が影響しているのではないか、ということです」

「勉強やゲーム、テレビ……必然的に寝るのが遅くなってきます。日本人と韓国人の睡眠時間は短く、世界でも1・2位を争うほど。大人の睡眠時間が短くなると、当然子どもの睡眠時間も短くなります。欧米の人々のほうが、思春期が早そうに思えますが、じつは日本人の方が、思春期が早いのです」

また、子どもが潜在意識で「早く大人になりたい」と考えていると、本当に思春期が早くきてしまうこともあるそうだ。思春期が早くくると、その分、身長の“伸びしろ”が少なくなる。さらに、睡眠不足が続くと、成長ホルモンも十分に分泌されない。

日本人の身長は戦後、一貫して伸び続けていたが、2005年前後に成長が止まった。そして、ここ10年間では、高校3年生の平均身長は低下傾向にある。