適切な治療によって、身長は伸ばせる

子どもの成長が平均レベルにあるかどうか、その判断の目安となるのが、年齢ごとに身長の平均値と分布の幅を示した「成長曲線」だ。飛田先生の場合、この基準で「-2SD」を下回っている場合は、一度検査をするように勧めるという。

子どもの低身長の背景には、ホルモンの分泌異常などの病気が隠れているケースがある。検査でそれが判明すれば、適切な治療を施すことで、ある程度、身長を伸ばすことができる。月に1回ほどの通院と、自宅での治療が必要となるが、健康保険も適用される。

ただし、身長に対する考え方は医師によっても全く異なり、日本でも「背が低くても、別にいいではないか」とする考えは根強いようだ。

「成長曲線から大きく外れている場合は別として、大学病院などでは、“-2SD”の曲線に沿っていれば病気ではないと考える先生もいます。基本的には経過観察で、“-5SDQ”まで治療をしない病院もあります。線に沿っているから大丈夫、健康だ、という判断です。ただ、“-2SD”の曲線に沿って成長していったとしても、結局のところは(最終的な)身長が低くなってしまう。そこが難しいところです」

「ソマトメジンCの値を診て、それが低ければ、体を作っていく栄養素が少ないということ。そういった子は、治療をすることで身長が伸びる場合が多くあります。そう考えると、低身長の子に対しては、できる治療はしてあげた方がよいのでは、と思える。昔と違って身長も、治療していく時代になるのではないでしょうか」

※この記事の続きは、後編記事『「背が伸びる」はウソ!? 牛乳、サプリ、バスケにバレー…身長にまつわる“噂の真相”』をお読みください。

 

ライター/女子栄養大学 食生活指導士1級。学生時代からさまざまな体調不良に悩まされたこともあり、健康的な生活習慣について学び始める。現在は専門家を中心に取材活動を行い、おもに食、健康、美容、子育てをテーマにした記事を発信。乗りもの好きな1男の母でもある。