背が大きくなるように、子どもに毎日牛乳を飲ませたり、ごはんをたくさん食べさせたり……。世の中には、「○○をすると身長が伸びる」と信じられている方法がいろいろある。

しかし、必ずしもすべてが正しい方法とは限らない。なかには根拠のない迷信のようなものもあるようだ。

前回記事「子どもの身長が伸びないのは、勉強・ゲーム・テレビが原因!? “早まる思春期”の危険とは」に続き、『身長は「9歳までの生活習慣」で決まる』の著者、とびた整形外科クリニック院長の飛田健治先生にお話を伺った。

バスケやバレーをすると背がのびるって本当?

――スポーツに関しては、「バレーボールやバスケットボールをやれば背が伸びる」とも聞きますが。

「まったく関係ありません(笑)。誰かが言ってしまうんです、『バスケットやバレーボールの選手は背が高いから、やれば背が伸びる』と。実際に、選手は皆背が高いため、背が伸びるだろうと思ってしまう。しかしそうではなく、背の高い人たちが残っていくだけなんです。身長があった方が絶対的に有利ですから。中学校では、背が高い子もいれば、そうでない子もいますよね。180センチ、190センチもあったら、それだけでスカウトされます」

「縄跳びがいい、ということもありません。(剣道やアメフトなど)重い物を担ぐと背が伸びないだとか、そういった話があるのは日本だけかもしれないですね」

“背が伸びるスポーツ”というのは、どうやら存在しないらしい。ただし、運動をすると成長ホルモンが分泌されるため、スポーツは推奨される。飛田先生いわく、スポーツの種類は「何をやってもいい」そうだ。

筋肉を鍛えすぎると背が伸びなくなるって本当?

――子ども時代に、筋肉を鍛えてはいけないのでしょうか?

「それもありえない話で、高校野球の選手など、めちゃくちゃ鍛えていますよね。相当鍛えていると思うのですが、筋肉はつかないのです。筋肉がつくのは、骨の成長が終わってからなのです。
田中将大選手や大谷翔平選手なども、高校時代はほっそりした身体つきでしたが、今はマッチョになっている。筋肉が成長するのは、19才から24才頃で、今まで骨にいっていた栄養が、今度は筋肉にいき始めることで、筋肉が発達してくるのです」

「思春期が早くて、急に筋肉がついてきたような子は、骨の成長が終わったから筋肉がついてきた、ということ。筋肉質の子どももいますが、それは体質です」

――腕立て伏せなどは、いかがでしょうか。

「逆に、腕立て伏せができない方が、まずいかもしれません。スポーツテストの結果で、今の子どもたちは軒並み、筋力が落ちています。少しやったほうがいいのでは、と思うくらいです(笑)」