2016年も気付けば、早くも折り返し地点を迎えようとしています。アニメ界でも、様々なニュースやトピックがありましたが、注目すべきは上半期のテレビアニメにおける「ギャルヒロイン」と「ヤンキーヒロイン(ヤンキーっ娘)」の大躍進です。
「オタク」の対立概念という偏見を軽々と超越し、アニメや漫画作品で大活躍しているギャルとヤンキーっ娘。上半期アニメのギャルヒロイン、ヤンキーヒロインたちを振り返りつつ、その魅力を探ってみます!
エポックメイキングな"ギャルキャラ"/『おしえて! ギャル子ちゃん』のギャル子
2016年のアニメ作品において、ある意味で最もエポックメイキングな作品といえるのが、この『おしえて! ギャル子ちゃん』です。
鈴木健也先生によるWEBコミックのアニメ版となる本作は、ティーンエイジャーのギャルな女子高生、その名も「ギャル子」を主人公に据えた学園ギャグアニメで、ショートアニメの放送枠『ULTRA SUPER ANIME TIME』にて、全12話が放送されました。
アニメ化に際しては、可愛い女の娘の描写やお色気ネタに定評がある川口敬一郎氏が監督ということで、女の娘同士での明け透けな下ネタが交わされる原作漫画のニュアンスもシッカリと再現され、更には、シモとエロの成分が多めなナレーションを能登麻美子さんが担当するという驚愕のキャスティングもファンに強いインパクトを残した作品です。
本作において、ヒロインのギャル子ちゃんはアニメや漫画、ミニシアター系の映画などの文化圏にも理解があり、オタクな女の娘(オタ子)とも親友同士というアニメファンにも非常に親しみやすい……否、まさに理想の女性キャラクターとして描かれています。ちなみに、胸は巨乳を超えた爆乳です。
しかも、ファッションやヘアスタイルこそイケイケで派手ではあるものの、シモネタに対して羞恥心を露わにするなど、ピュアな性格が強調されており、そのイノセントなキャラクター性もギャル子ちゃんの大きな特徴です。
こうした外見と内面の大きな隔たり、アンビバレンツさこそがギャル子というヒロインにとっての肝であり、コメディ描写やキャラクター描写においても力強い軸となっています。
"ギャル"というオタク的な文化圏とは距離がありそうな存在をモチーフとしつつも、ここまで愛されるキャラクターを創造しえた鈴木健也先生の手腕に感嘆させられる見事なヒロインであり、同時に、アニメや漫画、或いはゲームといったカルチャーにおいて、ギャルやヤンキーっ娘の親和性が急速に高まっている2000年代のユニークな光景を鮮烈に映し出している作品といえるでしょう。
ギャル子と友人たちとの友情にジンとさせられ、振り切ったシモとエロネタに大笑いさせられ、気付けば"ギャル"に対して不思議な親しみを感じさせてくれる『おしえて! ギャル子ちゃん』。ショートアニメということで、気軽に観ることもできるオススメの「ギャルアニメ」です。