主演やヒロインに助けられた

――キャストに助けられたという場面はありましたか?

稲葉:劇中ではあまり絡みはなかったんですけど、(キラ役の)飯豊まりえさんの空気感にはすごく救われました。プレッシャーもすごかっただろうし、大変なことも多かったと思うんです。でも、彼女(飯豊まりえ)で良かったなって現場のみんなが感じていたと思います。

すごくみんなを笑顔に出来る人なので、すげーなぁと思って見てました。尊敬したし、やっぱりやるべくして(ヒロインを)やっているんだなと感じました。

©劇場版「MARS~ただ、君を愛してる~」製作委員会

――飯豊さんのキラと重なる部分はありますか?

稲葉:キラの持っている頑固さというか真っ直ぐさ、ブレなさというのは、きっと彼女(飯豊まりえ)にもあって、あの若さですごく芯を感じる人です。そこは近い部分なんじゃないかと思います。演技も惹き込まれるし。

キラはストーリーの結果、可哀相ではあるんですけど、その可哀相なキャラを演技で出しているわけじゃない。可哀相な演技をしよう、じゃなくて、真っ直ぐにキラを大事にしてやっているから、観ている人にも響くんだと思います。あれは彼女(飯豊まりえ)だからこその力強さと壊れそうな感じなんじゃないかな。

――藤ヶ谷さんと零の重なる部分はありますか?

稲葉:やっぱり中心にいて、空気を作れちゃうところ。零は作品の中ではみんなの中心だけど、みんながあまり踏み込みきれない人。でも藤ヶ谷くんはみんなにとても優しいし、主演というのはもちろんありましたけど、楽屋でも現場でも場の中心にいて、空気を作ってくれるし、空気を変えられる人でした。

そういう意味では、やっぱりカリスマ性みたいなものを持っている人じゃないとできないんだろうな。空気を変えようと思ってやっているのかはわからないんですけど、変えられちゃうのですごいな、と思います。

――藤ヶ谷さんのおかげて空気が変わったな、と感じたエピソードはありますか?

稲葉:本当に何気ない時なんですよね。例えばちょっとスタッフさんが誰かを怒って若干空気がピリッとしたときに、それをそのまま緊張感として持って行く時はそのままやる。けど、空気を良くしたほうが良いシーンの時には、すぐ「達也!なんかないの?面白いこと」みたいに無茶ぶりしてきたり。でもそれは意図がわかるので、僕も応えなきゃなと頑張ってやってました。そういった、何気ない時に気を遣ってくれてるなって思いましたね。