――零とキラのような男性が女性を守ってあげる関係と、達也と晴美のような女の子がちょっとバカな男子を引っ張っていってあげる関係では、どちらが好みですか?
稲葉:零とキラは、いろいろあって大変すぎる部分は御免こうむりたいですけど(笑)、でもドラマチックで、やっぱり零みたいな男ってかっこいいし、憧れはします。けど、僕はそういうタイプじゃないんで(笑)。達也みたいな関係の方がいいかなって思いますね。
――零みたいにかっこよく振る舞うことが苦手なんですか?
稲葉:出来ないんですよ。かっこつけようとするんですけど、達也と一緒でかっこつかないんです。それは自分でわかっているんで、そうやって生きてます。
――劇中のBBQのシーンの達也に通じるものがありますね。
稲葉:そうなんです。でも愛すべき男だとは思いますよ、達也は。すごく素直だし、映画にも達也だからこそ出てくる優しい言葉がたくさんありました。零もそういう達也の言葉だからこそ救われた部分もあるんじゃないかなと思うと、なんか、そんな男でもいいかなって思いますね(笑)。
素直な達也だからこその魅力
――達也はとぼけているようで、しっかりしたことも零に言っていますよね。
稲葉:達也みたいな人間だからこそ、相手のことや周りのことは常に考えていて、「何か言ってあげなきゃ」じゃなくて、「え、だってこうじゃん?」ってそこには嘘がない、すごく素直な言葉が出てくるんだと思います。気を遣って出た言葉じゃなく。
達也は、自然と感じたことを正直に伝えてくれる人。そこはすごく素敵な人だと思ったし、そういったところは大事に演じなきゃなと思ってやってました。
――達也が発した言葉で印象に残っている場面はありますか?
稲葉:やっぱり、BBQのシーンで、晴美に「俺達も付き合う?」っておどけて言った場面は、達也らしいと思いました(笑)。
良いシーンの良いセリフでいうと、零と2人で喋ってて「別に普通じゃん?俺だって好きな人が殺されたら復讐するだろうし」って言えるのが、あれこそ達也が放つすごく素直な言葉。ああいう場面や状況って危うくて、相手の言葉次第で傷つくこともある。でも達也は本当に優しくて良いやつだから、別に励ましてやろうとか思ってるわけじゃなくあの言葉を言っているんですよね。本編を観ても、良いセリフをいただけたな、と思った場面です。
――ドラマのラストから続きが気になっているファンの方へ、映画の見所を教えてください!
稲葉:みなさん気になるのはやっぱり、零と牧生とキラの三つ巴の関係性だったり、3人の過去、なぜここに至ったのか、っていうことが紐解かれていく部分だと思うので、そこは期待して観て欲しいです。そしてもし余裕があれば、何度か観に来ていただいて、達也の恋の行く末を追っていただければ幸いです(笑)。
あと、みんなドラマの時は零とキラに感情移入していたと思うんですけど、きっとこの映画だと牧生に感情移入もできるので、そういう楽しみ方もしていただければ。ドラマの終わり方だと、「牧生、超こええ!やべー奴だ!」ってなっているので、みんな怖がっていると思うんです。まぁ、実際直面したら怖いんですけど。でも、気持ちわかっちゃうかも、って牧生を怖がらずに観てほしいなって思います。
――牧生の気持ちがわかっちゃう部分とは?
稲葉:牧生は悪気はないから、しょうがないんですよ。純粋すぎちゃったし、周りに零やキラ、達也みたいに支えてくれたり助けてくれる人がいなかったから、こうなってしまったんだろうって。
人間のシンプルな欲求や目的っていうものに対してすごく正直だから、共感できちゃってもいいんです。それが倫理的にとか、越えてはいけないダメな部分はあるけど。もしかするとそこまで強く想えるってすごく素敵なことなんじゃないかって見方もあると思いますね。
――ありがとうございました!
劇中では、牧生のことを「やべー奴だ」と言っている達也ですが、牧生の純粋な言動に「わかっちゃう部分もある」と理解を示した稲葉さんの言葉にも、達也のような素直さを感じました。劇中でホッとさせてくれる達也の存在に注目してください!
ヘアメイク:松本和也
スタイリスト:荒木大輔