発達障害とは具体的にどんな子のことを指すのか
――近年、発達障害という言葉をよく聞きます。実際、どういった子が発達障害と診断されるんでしょうか?
「実は、発達障害と一言に言っても、かなり範囲が広いのですよね。
ADHA(注意欠陥多動性障害)などは、その名の通り落ち着きがなく行動に衝動性が強い子が診断される障害です。
LD(学習障害)というものもあって、これは知能的な遅れはないものの、文字が読めない、書けないなどの特定の行動に対して習得が困難な障害のことです。
このLDを持った人で有名なのはトム・クルーズとか。彼は知能的な遅れはなくセリフなどは覚えられるけれども、文字が読めないという障害を持っているそうです。
自閉症に関していうと、一定の行動に対してこだわりが強いことや、名前を呼んでも反応しない、目が合わないなどの特徴がありますね」
――なるほど、発達障害といってもかなり多くのパターンがあるのですね。
「そうなんです。なので、“こういう症状が出たら発達障害!”とはっきり言うことができないんですよ。
実際、大人になるまで親も本人も自分が発達障害だと気がつかず成長していく子もいますし、日々の生活を自分自身で学習する中で徐々に改善していく子もいます。
発達障害の子に共通して言えることは、原因は様々あれど、毎日の生活がしづらくて困っている子というところではないかと思います」
言葉がけは「スモールステップ」が簡単&効果的
――shizuさんも自閉症と診断されたお子さんをお持ちなんですよね。実際に発達障害の子を育てる過程で効果的だった行動や言葉がけなどはあったんでしょうか?
「発達障害の子って、不器用な子が多いんですよ。
一般的には、周囲の子どもや大人のすることを見て真似するという能力があるんですが、発達障害の子、とりわけ自閉症の子は特にこの模倣力が低いんです。だから普通の子と同じように教えようと思ってもなかなかうまくいかない。
そんな時に効果的なのが、スモールステップで教える、褒めることです」
――スモールステップ、と言いますと?
「例えば、ボタンがけを教えるとしますよね。一般的には“ほら、ボタンがけはこうやるんだよ”とやって見せればいつの間にかできるようになっているものなのですが、発達障害の子は手先が不器用な子が多いのでなかなか上手にできないんです……。
なので、まずは大きいボタンのおもちゃを使って練習させる、その次に少しサイズの小さいボタンのお洋服を使って練習、というように、目標までのステップを小さく刻んであげるんです。
すると子どもは、小さなことでもうまくできたと実感できるし、ママ自身も子どもをたくさん褒める言葉がけをするタイミングができるんです。
達成感を味わえるし、たくさん褒めてもらえるので、やっぱり子どもは嬉しいんですよね。定着のスピードが違いますよ。
とりわけ、うちの子のような自閉症に関していうと、そもそも物事に興味を示さないこともあるので、“ほら、ボタンがあるよ!”というように、まずは対象に目を向けさせる声がけをしていましたね」