ママ友や知人に我が子をほめられると、ついつ「いやいや」「そんなことないよ!」と全力で否定したり、「うちの子なんて…」と卑下していませんか?

 親としては何気ない謙遜のつもりかもしれません。しかし、他者からのほめ言葉を親が子どもの前で否定することは、実は子どもの心にいろんな悪影響を及ぼすことになるのです。

ほめ言葉の否定が心に及ぼす悪影響

 (1)自分に自信が持てなくなる

カウンセリングをしていると、「自分に自信が持てない」と悩む方はとても多いです。自分に自信が持てない状態というのは、自分を過小評価している状態。

そうなると、やりたいことがあってもなかなか行動に移せず、能力も発揮できません。他人に対して言いたいことも言えず、劣等感を抱いているので対人関係もうまくいきません。

「どうして自分に自信が持てないと思うのでしょう?」そう尋ねてみると、人によっていろいろ理由はありますが、このようにおっしゃる方が圧倒的に多いです。

「小さい頃から親にほめられたことがない」。

 冷静に考えてみると、親から一度もほめられた経験のない人なんていません。
ですが、「自分は親からほめられたことがない」と思い込んでしまうのは、それだけ親から否定されてきたイメージのほうが強く残ってしまうからです。

特に、他人が自分をほめてくれたとき、親が「そんなことないわよ!」「うちの子なんて全然ダメよ!」「こんなのできて当たり前!」なんて言っているのを聞くと、恥ずかしさとショックでインパクトが大きくなり、より「否定された」というイメージが強く残ってしまうことになります。

(2)完璧主義になる 

「家ではできたことをたっぷりほめているから、外でほめられたときは謙遜したり否定するぐらいがちょうどいい」と考えるママも多いかもしれません。

ですが、家でほめていても、外で我が子がほめられたときに否定すると、子どもは「自分はまだまだなんだ……」と思うようになります。そうして、まだまだダメな自分を補おうと、がんばりすぎてしまいます。完璧主義になってしまうのです。

完璧主義になると、心の病を抱えやすくなります。完璧にしようと、他人の期待に応えようとがんばりすぎると、心が疲弊してしまうのです。

また、自分以外の人にも完璧を求めてしまいちがちになるため、他人とうまくやっていけないことが多くなります。

カウンセリングをしていると、完璧主義で苦しんでいる人もたくさんいます。そういう人たちの心を深堀りしていくと、やはり出てくるのは親との関係性。

親にほめられなかった、認められなかったというイメージが、「もっとがんばらなくちゃ」「完璧にしなくちゃ」と自分を追い込んでいくのです。

(3)依存体質になる

子どもは、今はまだひとりでは生きていけない未熟な存在です。ですが、ひとりの人間として認められたいと潜在的に思っています。それが人間です。

子どもがほめられたとき、全力で否定したり卑下することは、親が子どもをひとりの人間として認めていない証拠といえます。親が子どもを自分の“所有物”として考えている状態と言ってもいいかもしれません。

そういう状態が続くと、子どもの心にはいつまでたっても自立心が芽生えません。自分で考え、自分で行動する能力が欠如してきます。

そして、親や他人の基準で物事を考えるようになります。依存体質になり、うまくいかないときは「親のせい」「他人のせい」にする人間になってきます。

このように、我が子がほめられたとき全力で否定することは、将来的に子どもにとってマイナスの影響がとても多いのです。

それに、せっかくの“ほめ言葉”というプレゼントを頭ごなしに否定することは、ほめてくれた相手を否定してしまうことにも繋がります。

 では、他人から我が子をほめられたときは、どう返すのがベストなのでしょうか?