ママはもっと自分を大切に。楽な子育てが幸せを呼ぶ理由

光畑:お子さんの成長はそれぞれですし、気候条件等によっては難しい場合もあるので一概には言えませんが、1カ月健診でOKをもらえたら、どんどん外に出てほしいのです。

日本には昔から「お宮参り」の習慣があります。時期は地方によって異なりますが、生後30日前後のところが多いのではないでしょうか。

あの行事は、子どもの“社会デビュー”という位置づけもあるようなんですね。

いろいろな人の声を聞く、さまざまなにおいや音を感じる。これらのことが赤ちゃんの脳の発育にも、また心の発達のうえでもいいということは、医学的にも証明されています。

人ごみやラッシュに不必要に出かけてゆくことはありませんが、子どものアンテナに、ぜひたくさんのことを触れさせてあげてほしいと思いますね。

それに、赤ちゃんが小さいうちのほうが、外の世界に慣れやすいんですよ。

1歳前ならお散歩で少々グズッても、以前、“赤ちゃんを泣かせない”コツでもお話したように、ササッとラクに授乳できる方法さえ手に入れておけば、それで切り抜けられることがほとんど。

子どもの月齢が上がれば上がるほど声も身体も大きくなりますから、早いうちに慣らしておくに越したことはありません。人見知りや場所見知りも、ぐっと少なくなりますし。

ゆくゆく“ラク”をするためにも、早めに布石を打っておくことをオススメします(笑)。

重要なことなので、もう一度言います。

ママは、自分をもっと大切にしていいんです。
ラクに過ごすことを、我慢することはないんです。

むしろ子どものためにも、笑顔が増える方法を選んだほうがいい。そして自分自身の心と身体を健やかに保つためにも、どんどん外の世界に出かけてゆきましょう。

――「自分を大切にすることは相手を大切にすること」なんて、ラブソングみたいですね。

光畑:母と子のラブソング♪ですね(笑)。

とはいってもなかなか固定観念というのは変えられませんから、そんな時こそパパの出番!

子育てファミリーにおけるパパの役割についてはまた改めてお話しますけれども、パパがママを“ラク”にしてあげるべく、外の空気を吸う機会を積極的につくってあげたり、もちろん授乳服をプレゼントしてあげてもいいですよ(笑)

そんな風にママと社会のつながりを絶やさない工夫をしてあげることが大切になってくるのではないでしょうか。

真面目な人ほど、ひとつのことに一生懸命になると周りが見えなくなってしまいがち。子育ての“自分ルール”や“こうすべき!ああすべき!”に、気付かないうちにがんじがらめになってしまうこともあるでしょう。

そんな時には外の世界とのパイプ役として、パパの視点や立ち位置というのを家庭の中で活かしていってほしいな、とも思いますね。

――では最後に、「頑張りが足りないダメ母でごめん」と涙しているママにメッセージをいただけますか。

光畑:育児でラクをすることに、罪悪感を持つ必要はありません。いま子育ては大変、大変というばかりで、ラクになる情報がシャットアウトされているように感じます。

「上手に手抜きして」とはいうものの、「手を抜く」ことについての後ろめたさはついてくる。「頑張りが足りない」なんて涙している時点で、あなたはもう十分過ぎるくらいに頑張っています。

それに、昔と比べたら、たしかに家電は進歩して、家事はラクになっているかもしれません。でも“古き良き昭和”とは良くも悪くも時代は変わって、却って自宅に閉じ込められることが増えている。

精神的には「全然大変」な面もあるんです。

“ラクな子育てが幸せな子をつくる”。

ママ自身の笑顔のため、そしてお子さんの幸せのためにも、堂々と“ラク”をしましょう!子連れで出かけてゆきましょう!そしてそんなママたちを応援できる社会を、私たちもつくってゆきたいと思っています。

■光畑 由佳(みつはた ゆか)氏 プロフィール

子連れスタイルで子育てと社会を結びつけ、多様な生き方や育て方、働き方を提案するNPO法人「子連れスタイル推進協会」代表理事&授乳服メーカー「モーハウス」代表。三児の母。

内閣府「暮らしの質」向上委員会委員、経済産業省「中小企業経営審議会」臨時委員、茨城県ユニセフ協会評議員、茨城大学社会連携センター特命教授。趣味はお産・おっぱい・建築とのこと。

15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。ウレぴあ総研では宮澤佐江ちゃんの連載「ミラチャイ」開始時に取材構成を担当。産育休の後、インバウンド、とりわけメディカルツーリズムに携わる一方で育児ネタも発信。小学生+双子(保育園児)の母。