会話の中で「なぜしちゃいけないの?」「なぜしなくちゃいけないの?」と子どもから質問されることはありませんか?

大人なら当たり前に思っていることでも、子どもにとっては不思議なことが世の中にはたくさん。子どもからの無邪気な質問に、時にはどう答えるべきか悩むこともあるでしょう。

浄土真宗本願寺派僧侶、保護司、空手道場館長として、20年にわたって子ども達と向き合ってきた向谷匡史さん。

向谷匡史さんの著書『考える力を育てる 子どもの「なぜ」の答え方』では、実体験をもとに、子どもが自ら考え、成長し、自立できる答え方が紹介されています。

そこで今回は本書の中から、家庭の「なぜ」に関する答え方を2つピックアップしたいと思います。

1:「なぜ、ゲームばかりしていてはいけないの?」

学校から帰るとすぐにゲームを始める、家族で外食に行っても、旅行に行ってもゲーム機を離さないなど、子どもとゲームの付き合い方に悩むママは少なくありません。

「いつまでゲームしてるの!」なんて叱った経験がある方もいるのではないでしょうか。

ゲームに関して親から叱られることで、「ゲーム=悪」と思ってしまう子どもが多いといいます。しかしゲームを楽しむことは、決して悪いことではありません。

向谷さんは「ゲームをやってはいけない」というのではなく、「ゲームばかりやってはいけない」という両者の区別をはっきりさせて、「どうしてゲームばかりやってはいけないの?」との質問に答えるべきだと考えているそうです。

そして向谷さんの答えは「バカになるから」というシンプルなもの。

高学年の子どもであれば「ゲームは頭を使うよ!」なんて反論することもあるでしょう。

そんなときには、「それじゃあゲームを頑張ったら算数や国語ができるようになる?」と問いかけてみます。これに「いや……」と子どもが返事に詰まれば、次の会話をしていきましょう。

「一日は24時間だよね。学校に8時間、睡眠に8時間、それに食事やお風呂、習い事、宿題、テレビを見る時間を引いたら残りは何時間?」と一緒に計算をしていけば、残るのは2時間程度。

そこから「その2時間全部をゲームに使って、勉強もしない、本も読まないとなれば、バカになるんじゃない?」と、子どもにもわかる理屈を話すのです。

そして「ゲームをやるのが悪いのではなく、ゲームばっかりやるのはダメだってこと。だから週に1回だけ、1時間はどう?」と代替案を出します。

すると「週1回じゃ少ないよ。3回」(子ども)、「3回は多いわね。それじゃあ間をとって2回」(母親)などと、親子で話し合うことができます。

親が一方的に禁止する、時間を設定するのではなく、話し合って子どもを納得させることがポイントになるのです。