現在、小学校4年生(正確には小学校3年生の2月)から中学受験に本腰を入れる家庭が多いそう。
中には、「塾に入れるか否か」の入塾テストのふるいにかかる前、小学校1年生や2年生からいわゆる“席取り”のために通塾させる家庭もあるほどです。
自分自身が中学受験を経験した子育て世代でも、「自分たちの頃は小学校5年生あたりからだったはず」と戸惑うほど、中学受験に対する親の意識は加熱し、受験対策開始時期も早期化しています。
「中学受験をするなら小4までにスタート」の“現代の本筋”から外れてしまった場合、焦燥感を抱いてしまうのが親心ですが、遅めのスタートでも中学受験を成功させている家庭も多くあります。
そのような家庭では、どのような勉強方法やモチベーション管理を行っていたのでしょうか? 今回は、実際に小学校5年生の夏前から通塾を開始し、都内の偏差値60超えの難関中学に合格した藤原純平くん(仮名)の母親、希さん(仮名)に取材しました。
塾選びのポイントは「自分はここならできる!」を感じさせること
——早速ですが純平くんの通塾が小学校5年生の夏前と、周囲よりも1年以上も遅かった理由はなんですか?
希さん「そもそも、我が家は中学受験をする予定がなかったんです。そのまま学区内の公立中学校に通わせる予定でいました。
中学受験をすることになったのは本人の希望ですね。私の住んでいる地域は中学受験をする家庭が多いので、皆で一緒に塾に行って皆でワイワイ帰ってくるという周囲の様子を見て、息子も『自分もやってみたい』と感じたのではないでしょうか。
しかし、そのような本人の願望が育つ頃にはすでに5年生になっていた、というのが周囲よりも対策開始時期が遅れた理由ですね。
ただ、スタートが遅かったことはメリットもありました。受験塾に対するリアルな情報が耳に入ってくることが多かったことです。
周囲の家庭はすでに通塾して1年以上が経過しているので、実際に通った上での情報が入ってくるんですよ。『あの塾は宿題をしていかなくてもうるさく言われないけど、その代わりどんどんついていけなくなる』とか、『こっちの塾はノー勉強で行くと怒られるけど面倒見はいい』とか」
——身近な人たちからの情報をもとに検討できるのはいいですね。最終的にはどのような塾を選びましたか?
希さん「実はかなり序盤で一度転塾をしているんです。最初は“ザ・中学受験といえば”の大手塾に入れました。
宿題をチェックされずに『ついて来れる奴はついて来い!』みたいにどんどん進んでいく環境が合う子もたくさんいるのでしょうが、うちの子を奮い立たせるシチュエーションとは少しズレていたのだと思います。
やらないと置いていかれるという厳しさはあっても、宿題や理解度のチェックが細かいわけではないので、そもそも塾に行くのを忘れるということが何回かあって(笑)
その後、宿題の分量が多くてチェックも厳しい塾に転塾しました。本人が『やらねば』と感じるシチュエーションと合致していたという部分が大きいです。
また、最初の入塾テストで半分よりも上のクラスに入れたということも、本人のモチベーションにつながった気がしますね。最初の塾では入塾テストで下のほうのクラスに配属されてしまっていたので。
レベルは高いのでしょうが、あのまま最初の塾に在籍していたら、現在のような結果ではなかったように思います」
——入塾テストは、子どもが一番最初に自分の位置付けを確認できるポイントですよね。その時点で「できるんだ」を感じさせるのは重要なことのように思います。
希さん「そうですね。当時は私も『うちの子、上のほうのクラスだ!』のようなただ嬉しいという意識だったのですが、今思えば本人の中にも『自分は結構できるほうかも?』という自信が芽生えたのでしょうね」