志望校選びはやっぱり偏差値だけど…
——志望校やその他の第二志望以下の学校の選び方はどのようにしましたか? 気をつけたことはあるのでしょうか?
希さん「志望校や受験する学校選びは、重要な軸がふたつあると思っていて、それぞれで気をつけるポイントが違いました。ひとつ目はやはり偏差値ですよね。
最初に感覚的に『この学校に行きたい』と目標を定めて、そこに向かって偏差値を上げていくという方法もあるのだと思いますが、我が家は日々の模試の結果などを見て、現在の偏差値から志望校を絞っていました。
第一志望の学校は、最後まで塾から『受かるかどうかは五分五分』と言われていましたが、その“五分五分”を上限値に設定して、それ以上の偏差値の学校は受験校の候補に入れていません。
あまりに現実的な言い方になってしまいますが、『欲をかかない、夢を見過ぎない』というイメージです。これもまた、『塾からもらったアドバイスに逆らわなかった』というのが良かったのかもしれません。
私が周囲を見ている肌感でしかありませんが、偏差値を無視して、とにかく当初からの“行きたい学校”やその学校と同じ偏差値付近の学校ばかりを受験して全落ちしてしまった、という家庭は世間が思っているよりも多いです……。
そういう意味でいうと、そのような家庭とはそもそも“第一志望”の定義が違っているのかもしれませんね」
——もうひとつの軸とはどのようなものでしょうか?
希さん「もうひとつは校風を軸に選んでいたのですが、これはどちらかといえば、志望校選びでポイントにしたと同時に気を遣った部分でもありました。
高校受験や大学受験だと子どももだいぶ自分の性質や希望がわかってきて、それをもとに志望校を決めるのだと思いますが、中学受験だとどうしても親の希望が子どもの希望に影響すると思うのですよね。
あまりこちらが思う『この学校いいじゃん!』を押しつけすぎないように気をつけていました。やはり、周囲とあらゆる学校の話をしていると、親のほうが目移りしてしまうんですよね。
私の希望と息子の性質に乖離があって、息子がその学校の中にいる姿がしっくりこない学校は志望校から外すようにしていました。
結果的に、息子は規律に厳しい男子校をいくつか選んで、現在通っている第一志望もそんな雰囲気のところです。
私がある程度厳しい学校のほうがいいと思っていたことも存分に影響していると思いますが、塾の段階から『厳しくされたほうが火がつく』という性質があったので、合っていたと思います」
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一貫して希さんから感じたことは、「自分は何もわからないから」という考え方で周囲の意見を柔軟に取り入れる姿勢です。
第一志望に合格したのも結果論であって、「今考えればこれが良かったのだろうと思うことはいくつもありますが、そのときは周囲がいいと言っているものをただ夢中で取り入れていた感じです」と語っていました。
人よりもスタートが遅い場合でも、しっかりと親がサポートしていくことで着実に目標に近づけることができます。
また、遅めスタートの子は中学受験に関する学習の基礎固めも遅くから始まるため、早めに始めた子よりも周囲との比較による浮き沈みにさらされる機会が少なく、伸びを本人が感じやすいというメリットもありそうです。
子どもの性格や適性を鑑みて、最適なスタート時期を見極めてあげましょう。