2017年は、『獣拳戦隊ゲキレンジャー』の放映開始10周年イヤーです!
『獣拳戦隊ゲキレンジャー』は、2007年2月にスタートした東映のスーパー戦隊シリーズ第31作目となる作品。「動物」と「中国拳法」という2つのメインモチーフを持つスーパー戦隊で、登場人物たちは敵味方双方が、動物を模した拳法「獣拳」の使い手という非常にユニークな設定が特徴の作品でした。
物語は、正義の獣拳「激獣拳ビーストアーツ」を使う三人の若き拳士、漢堂ジャン(ゲキレッド)、宇崎ラン(ゲキイエロー)、深見レツ(ゲキブルー)と、邪悪な流派「臨獣拳アクガタ」を体得した悪の組織「臨獣殿」との死闘を描きます。
その思い切ったモチーフの選択と、斬新なコンセプトの数々、正義のヒーローとそのライバルである悪の組織に同等に比重を置いたストーリー展開……と様々な新機軸を盛り込んだ意欲作である『獣拳戦隊ゲキレンジャー』ですが、関連商品の売上が低迷したこと(2000年代のスーパー戦隊シリーズにおいて、ワーストの売上)と、同時期に『仮面ライダー電王』というライダーシリーズ屈指の人気を誇った作品が併せて放映されていたこともあり、やや地味な印象が付いて回る不遇の作品でもあります。
しかしながら、この『獣拳戦隊ゲキレンジャー』は、まさに「隠れた名作」と呼ぶべき作品であり、この10周年を機に是非とも再視聴と再評価をオススメしたくなる作品なのです。
中国拳法をモチーフにした斬新なコンセプトと意欲的な試みの数々に注目!
『獣拳戦隊ゲキレンジャー』は、全編に渡って導入された意欲的な試みが真っ先に目を引く作品です。
例えば、主役であるゲキレンジャーたちのデザインは、スーパー戦隊シリーズにおけるベーシックな装飾品であるベルトを排し、ブルース・リーのトラックスーツを思わせる上下一体型の形状となっています。
更に、ブーツはスニーカー風、変身アイテムである「ゲキチェンジャー」はオープンフィンガーグローブを思わせるデザインが採用されており、こうしたスポーティーかつ独特なビジュアルは、ゲキレンジャーに唯一無二のアイデンティティを与えています。
また、本作のメインモチーフの一つである「中国拳法」は、ゲキレンジャーが使用する装備にも徹底されています。何と、ゲキレンジャーは、銃火器や刀剣といったスーパー戦隊シリーズにおける定番の武器を初期段階では装備しておらず、代わりに、ヌンチャクやトンファー、ロッドといった一風変わったアイテムをメインウエポンとして戦うのです。