2.正社員として就職してから

39歳の女性は、結婚してからは週に3回のパート勤めをしながら2人の子どもを育てていました。

夫は、「育児などほとんどせず、私がパートに家事にとどれだけ忙しくても決して手を貸そうとはしない」人。

子どもが病気になっても看病はすべて女性に押し付け、休みを繰り返すことで勤め先で嫌味を言われることも「母親なんだからそれくらい辛抱しろよ。辞めさせられないように努力するのが社会人だろ」と冷たい言葉を放るそうです。

こんな夫に耐えられず、女性は離婚を考えます。ですが、パート勤めの収入ではとても子どもを抱えて生活していくのは難しく、心機一転、正社員を目指すことにしました。

特に資格もなく特技もない、と言う女性でしたが、今の勤め先では接客がうまいと褒められることが多く会社の広報で仕事ぶりを紹介されるなどの実績があり、販売の道を考えます。

夫に隠れて夜遅くに履歴書を書いては出し、面接を繰り返し、やっと採用が決まってから夫に打ち明けました。

夫は、自分に黙って就職したことに怒りをぶつけてきたそうですが、「世帯収入が上がるし、家事も育児もこれまで通りにするから」という女性の言葉を鵜呑みにしてその場は終わります。

このとき、夫から「正社員になったからって、手抜きは許さないからな」と言われたことで、女性は絶対に離婚してやると改めて決意したそうです。

無事に試用期間が終わり、さらにそれから半年、女性は会社で働けるかどうかを確かめます。

以前のパート勤務とはちがいフルタイムでの仕事は、何も助けてくれない夫の存在もあって体力的にも精神的にもつらかったそうですが、「離婚するためなら何でも我慢できた」と女性は話していました。

会社では得意の販売の仕事を任せてもらえ、収入もしっかり確保できることを確かめた女性は、ある日夫に記入済みの離婚届を渡します。

寝耳に水だったであろう夫は、最初こそ「許さん!」と騒いでいたそうですが、女性が子どもたちを連れて実家に帰ってからは連絡がなくなり、女性は両親の助けを借りて何とか離婚届を書かせることに成功しました。

女性は、協力してくれる家族のおかげもあり、今も仕事に精を出しながら子どもたちと幸せに暮らしています。

離婚は、結婚と同じく人生を大きく変える決断です。

「結婚生活に失敗した人」などマイナスに取られがちな離婚ですが、実際は不毛な暮らしから抜け出して新しい人生を手に入れた女性たちは輝きを取り戻し、自分の時間をのびのびと楽しんでいます。

その成功を手に入れるために、間違えたくないのが離婚するタイミング。

目先の不幸を回避するより先の生活をしっかり見据える胆力のある女性たちは、足もとを固めてから踏み切ることで、自分だけでなく子どもの人生も守ることができました。

人生を変える決断だからこそ、勢いだけで動くのではなく“それから”を考えた行動が重要なのだと実感します。

プロフィール:37歳で出産、1児の母。 これまで多くの女性の悩みを聞いてきた実績を活かし、 復縁や不倫など、恋愛系コラムライターとして活躍中。「幸せは自分で決める」がモットーです。ブログ:Parallel Line