おすすめのお手伝いは「バスタオル干し特訓」

本書の中で、山岸先生はおすすめのお手伝いを2つ紹介しています。そのうちのひとつが「バスタオル干し特訓」。これはただ、バスタオルを干すだけではありません。

こんなふうに子どもに質問してみます。「ここに、今洗い終えたばかりのバスタオルがあります。今日のお昼にはこれを持ってプールに行きたいので、大急ぎで乾かさなくてはいけません。しかしここには物干し竿も洗濯バサミもありません。どうやって干したらいいでしょうか?」

このような場合、まずバスタオルをどこに干すのか、どうやって干せば一番太陽に当たるのか、太陽に当たらない面積が一番少なくなるいはどうしたらいいか……。色々なことを考えなければいけません。

このように自分で答えを導き出す体験そのものが、子どもの頭を鍛えることにつながるといいます。

親が先回りして教えるのはNG!

子どもにお手伝いをさせるとき、親はどのようなことに気をつければいいのでしょうか。山岸先生は「わが子の成長を待つことは、親に与えられた最大級の宿題」だといいます。

もちろん家事はお母さんがやる方が早いのは当たり前。しかし、ママが先に答えを教えてしまうと子どもの思考力はなかなか伸びません。ですから、例えばバスタオル干し特訓の場合なら、「タオルの長い方が垂れていると、地面についちゃうよね。重なっている部分があるとどうなるかな?」などとヒントを出してあげるのがポイントだそうです。

掃除、洗濯、料理……ママができることは6歳児ならすべてできる!

最後に、山岸先生からこの記事のためにメッセージをいただきました。

――ママたちはわが子の能力を見くびっていると思います。6歳児なら、ママがやっている掃除も洗濯も、教えてあげた子は料理まで、すべてできます。

お手伝いを通じて、子どもは自分が家で役割を担っている誇りを実感することができます。

親ができるのは、子どもが自立するそのプロセスを教えて励まして褒めて認めてあげること。それにより、親も子もお互いを敬い、信頼し合えるようになるのです。

受験は子育ての途中経過でのイベントにすぎません。大事なことはなんなのか?ぜひ本書を読んでみてください。

 

ライター。音楽系の出版社で6年間勤務した後、かねてからの目標であったアメリカでの短期留学を果たし、現地でフリーペーパー制作のボランティアを行う。帰国後は、実用書を扱う出版社にて女性エッセイや心理本などの編集を担当。その後、ライターとしての活動を始める。北欧のヴィンテージ食器が好き。