読書と同じぐらい家族との会話が大切!
―――著書に、「読書と同様に親子の会話を充実させることで、さらに国語力が磨かれていく」とありましたが、どんな会話をすればよいのでしょうか。
中根:子どもと親が日常生活のなかで「長い話をする時間」は、読み聞かせと同じなんです。読み聞かせよりも、子どもはむしろ集中して聞きますよ。
会話は、科学的な要素が入っているとか、子どもに考えさせるような話を楽しくするのが一番いいですね。
たとえば、「きょう寒いね。地球は太陽の周りを回っているんだけど、冬は斜めに傾いて回っているから、どうしても太陽の当たり方が少ないから寒くなるんじゃないかな」とか。
子どもは新しいことを知ると知的好奇心が刺激されて、「へえーそうなんだ!」と興味をもちます。
―――親もそれなりの知識や教養の土台がないといけませんね。
中根:そうそう。「子どもは親の後ろ姿を見て育つ」といって、読書でも会話でも、親が知的な関心をもって生活しているのを見せるのがいい刺激になるんです。
親は、いつも子どもに話す面白い話を仕入れてストックしておくぐらいがいい。「きょうは子どもにどんな話をしてやろうか」ってね。子ども向けの科学本を参考にしてもいいんですよ。
こういうのは、お父さんのほうが向いている場合もありますね。
勉強の先取りは行き詰まることが多い
―――先生の教え子さんで、急に成績が上がった子や、逆に勉強を先取りして行き詰った子はいましたか?
中根:以前、小学校6年生で中国から日本に来て、ひらがなしか読めない、という子がいました。
でも1500字ぐらいの長文を、お母さんの前で毎日例外なく朝食前に音読するようしたら、どんどん読むのが上手になって。
作文も最初は5行も書けなかったのが、中3で立派に1200字ぐらいの文章をバリバリ書けるようになって、高校にも合格しました。読むということ、それと、いつも褒めてあげるのがポイントです。
反対に、残念ながらダメになってしまった例もあります。
小学校1、2年生ですごくよくできる、目から鼻に抜けるような子がいました。でも、そういう子は行き詰まりが早いんです。
また、4年ぐらいになると急に親子の関係が悪くなって親が教えられなくなり、塾に通わせることも多いですね。
―――勉強は親がそばにいて付きっきりで見ている必要はないのでしょうか。
中根:教えないほうがいいんですけど、低学年だと親が教えられるから、教えすぎちゃうんです。
でも、5年ぐらいから教えられなくなる。最初から自力でやるようにして親は「よく頑張ったね」ってほめてあげてほしいです。
いい大学ではなく、イキイキと働く姿をイメージする
―――著書のなかで、さかなクンのような「これからは自分の道を追求した人が活躍する時代」とありました。
中根:いま、お母さん方の展望は「子どもがいい大学に入ればいい」ぐらいしかないように思います。
成績だけでなく、ほんとうは個性を活かして独自に仕事をするということを考えられればいいですね。
これからは大きい会社の正社員でも、会社で活躍するフロンティアが生まれる社会ではなくなります。
なので、独立の方向を念頭に入れておくといいと思います。そのためには、全教科のバランスよい学習と、自分の好きなことを集中してやる時間が必要です。
そして子どもを見るときに、「いい大学に入って合格を喜んでいる」という未来ではなく、「社会人になって何の仕事かわからないけどイキイキと仕事している」、そういうイメージが子どもの未来にあると思って子育てをしてほしいですね。
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本書には「読書は学力だけでなく、より幅広い人間力のようなものとも深い関係があります」ともあります。
読書や読み聞かせなどによって子どもが好きなことを見つけ、人生の選択肢を広げられることも、親の役目のひとつにちがいありません。
また、「後伸びする低中学年の勉強法」や「遊びを充実させる方法」についても伝授。勉強だけでなく、これからの人生をも輝かせてくれる一冊です。