子どもには、人への感謝を忘れず、人に好かれる大人になってほしい。そしてまた、自信をもって夢へ立ち向かい、叶えられる人になってほしい。そう願うのは、親の常ですよね。

そのためには、日々、親が言葉の大切さを意識して生活することが欠かせないと言います。

11万部のベストセラーとなった『100%好かれる1%の習慣』(ダイヤモンド社)とその続編とも言える『1秒で「気がきく人」がうまくいく』の著者で、ホスピタリティー・マナー講師としてリピート率97%を誇る、松澤萬紀さんにお話を伺いました。

親が「ありがとう」と言えると、子どもも言える子に育つ

――著書『100%好かれる1%の習慣』のなかで「ありがとう」という言葉の大切さについてふれていらっしゃいますが、人間関係を築くうえでの芯になるとお考えですか。

松澤萬紀さん(以下、松澤):私が、12年間ANAでキャビンアテンダントをしていた時、お子様におもちゃを差し上げると、きちんと「ありがとう」が言えるお子様がいると、「すごい」と思いました。

なぜなら、私は子どもの頃、とても内気な子だったので、大人の人に自分から言葉を発することが出来なかったからです。

私は今、どんな些細なことでも「ありがとう」を言うように意識しています。なぜかというと、自分の親が、お店でも、駅でも、どこでも、誰にでも、人から何かをしてもらったら「ありがとう」と大きな声で言う人なので、幼少期に内気だった私も、そんな親を見ていつの間にか「ありがとう」を自分から自然に言えるようになりました。

「ありがとう」を言いなさいと直接親から教わったことはありませんが、今から思うと、親がしていることをよく見ていたのかも知れません。

以前、大学の先生から「親から優しくされたことのない子は優しさを知らないので、友達や周りの人にどう優しくしていいのかが分からない。なので、“優しくしなさい”というよりも、親が子どもに対して愛ある行動をとらなければいけない。子どもは経験のないことはできない」というお話を伺いました。

例えば、子どもがお手伝いをした時、親から「ありがとう」と言われない子どもは、人が何かをしてもらった時にも「ありがとう」と言えないそうです。

1秒で、「誰かの役に立てている」と確信できる

――100%好かれる1%の習慣』、『1秒で「気がきく人」がうまくいく』に共通する「1」という数字。

それは、大きなことで人生を変えるのではなく、ほんの「1秒」「1%」の些細なことを続ける事で人生を豊かにしていきましょう、という思いが込められているのだそう。

松澤:「ありがとう」という言葉は人間関係をよくしていく一番のキーワードでもあります。

「ありがとう」は、たった5文字を言うだけ。時間にしたらほんの1秒ほどです。でも「意識」しないと意外と言っていない言葉です。私は、その「意識」が大事と考えています。

私の本でもご紹介したのですが、ある企業の調査で「あなたを笑顔にしてくれる言葉は何ですか?」のアンケートの第1位は「ありがとう」でした。

「ありがとう」と言われた瞬間こそが、「自分はだれかの役に立てている」と確信できる瞬間なんですね。「ありがとう」と言われる事で人は自分の存在価値を見出し、人間関係を育んでいける力となります。