外に連れて行くと、目を離したすきに迷子になってしまう、道路に飛び出す、友達に暴力を振るう、玩具を散らかしたまま片づけられない……。
子どもでしたら、どの子にも少なからずみられる行動ですが、その中に注意欠如/多動性障害(AD/HD)の子もいます。
『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子が、詳しい特徴や対処法をお話します。
注意欠如/多動性障害(AD/HD)とは?
注意欠如/多動性障害(AD/HD)は発達障害の一つです。
発達障害とは主に次の3つを差します。発達障害の可能性があり、通常学級に在籍する児童数は、文科省の調べで6.5%いると言われています。
(以下は世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)ICD-10に準拠した分類)
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広汎性発達障害(PDD:pervasive developmental disorders)
自閉症・アスペルガー症候群・レット障害・小児期崩壊性障害・特定不能の広汎性発達障害を含んだ総称
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注意欠陥・多動性障害(AD/HD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)
年齢的に相応した言動などに不注意・多動・衝動性の症状が複数見られる。
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学習障害(LD:Learning DisordersまたはLearning Disabilities)
知的には問題はないが「読む・書く・計算」などの特定の能力を要する学習が極端に困難な状態
※アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では自閉スペクトラム障害(ASD)、注意欠如/多動性障害(AD/HD)、限局性学習障害という名前になっています。
(参照)文部科学省での定義
注意欠如/多動性障害(AD/HD)ってどんな特徴があるの?
その名前のとおり次の3つの特徴があります。
- 不注意(集中力がない)
- 多動性(じっとしていられない)
- 衝動性(考えずに行動してしまう)
具体的には次のような行動が見られます。
- 直ぐに気が散る
- じっとしていなくてはならない場所で、立ち歩く
- 席は離れなくても、身体を常に揺する
- 忘れ物が多い
- 些細なミスが多い
- 約束や決まりごとを守れない
- 時間管理が苦手、計画性がない
- 片付けが出来ない
- 行動や感情を爆発させる(友達をすぐに叩いたり蹴ったりする)
こうなると、「もしかして、うちの子怪しいかも?「え、うちの子にどれもこれもぴったり当てはまってしまう…」と感じてしまう人も多いと思います。
何故なら幼児とは、食事中に立ち歩いたり、スーパーで走り回ったり、少なからず落ち着きがないものだからです。
けれども、AD/HDは、5歳なのに2歳児のような行動をするなど、極端に激しく、それがどの環境でも起こり、半年以上続いている場合を指します。
小学生になると、授業中にじっと座って集中できないため、学力が低下してしまうこともあります。
男女比からみると、男児に多く見られる障害と言われています。