原因は?

原因ははっきりしていません。でも、生まれつきの脳機能の障害であることはわかっています。

ということは…

「家庭のしつけが出来ていないから」「担任の指導力不足から」「本人の努力不足や性格に問題があるから」…そういったことに起因して起こっている行動ではありません。

ですから「母親失格だ!」と、自分を責めることのないようにしてください。

どう育てればよいのか

本人の我慢が足りなくて友達に直ぐ手を出してしまうとか、教室から脱走してしまうわけではありません。

他の子と比べて、「みんな出来ているのにどうしてお前は出来ないんだ!努力が足りないんだ!」と厳しいしつけをして育てようとしたり、感情的になって人格を否定するような叱り方をしていると、本人の気持ちの中に「自分はダメな人間である」と低いセルフイメージが定着してしまい、事態は悪化します。

これにより元々あった障害に加え、“引きこもり・鬱・不登校”などの二次的な問題が新たに発生してしまうこともあるのです。

子どもを何とかしようとしないで、大人の対応を工夫しましょう。

例えば…

●友達に対して攻撃的に叩いたり突飛ばす場合は、「なんでそんなことをするの!いい加減にしなさい!」とただ叱るのではなく、どうしたらよいか、手段を教えましょう。
「口で『貸してください』とお願いしよう」と伝えて、それが少しでも出来たら褒めてやり、成功体験を積ませる。

待合室など、長時間座っていなくてはならない状況は、出来るだけ避ける。同じ姿勢をずっととっていなくてはならない状態を避けるために、気分転換のため、何度か外に連れ出す。

気が散らないように教室での席は窓側、廊下側は避け、先生の近くの前列にしてもらう。パーテーションなどで仕切りを作って気が散らないようにしてもらう。

絵を描いたり勉強するときは、集中できるように友達の声や外の物音を遮断するため耳栓を使わせる。

計画的に行動できないため、小学校の時間割のように、何時になったらどういう行動をするなど視覚的にわかるようにしておく。

忘れっぽいので出かける前に持ち物リストにチェックさせる。
それでも忘れ物が多く叱られるようであれば、置き傘のように教科書・体操着を2セット置いておく。

また、翌日の授業の教科書を忘れてしまう場合は国語、算数などすべての教科書を翌日の時間割に合わせて選ぶのではなく、“全部持っていき、全部持って帰ってくる”などの工夫をする。

片付けをしやすいように、入れるべきものを箱に写真で貼っておき、物の指定席を明確化する。

何故なら親だけが理解していても不十分で、その子に関わる周りの人もわかっていなければ「悪い子」のレッテルを貼られ、本人が辛い思いをしてしまうからです。