我が子が「発達障害」と診断されたら、親は何を思うでしょうか?
「うちの子は普通じゃないんだ…」と落ち込んだり、「学校などでうまくやっていけるかしら」と悩んだり、不安な気持ちが多くわき出てくるかもしれません。
発達障害の特性は人によって本当にさまざまですが、大きく分けると自閉症、アスペルガー症候群、ADHD、学習障害(LD)などの種類があり、一般的に社会生活において「問題行動」を指摘されることが多く、本人もその親も、困難を抱えがちです。
ですが、そうした発達障害の特性を強みに変え、「誰もが社会で輝けるチャンスがある」と豪語するのが、「障害のない社会を作る」というビジョンを掲げる(株)LITALICO代表の長谷川敦弥さん。
長谷川さんは著書『発達障害の子どもたち、「みんなと同じ」にならなくていい。』のなかで、発達障害の特性を強みに変える方法を多くの実例を交えて紹介しています。「どんな個性も長所として伸ばしていき、社会に役立てる」ヒントがたくさん詰まっているので、発達障害の子にも、そうでない子にも参考になること間違いなし。
親として子の個性とどう向き合い、どう伸ばしてあげればいいのか? 今回は、本書のなかからそのノウハウの一部を紹介します。
ADHDの特性がアルバイトで強みになった経験
長谷川さんは、自身もADHD(注意欠陥/多動性障害)の傾向を持ち、子ども時代は問題児として通っていたといいます。
ですが、そんな自らの経験を振り返り、長谷川さんは「特性が短所になるか、長所になるかは環境次第。むしろ短所と言われているほとんどの特性は、環境次第で長所として活かせる可能性がある」と言います。
幼少期、みんなと一緒に何かをやること、強制されることが苦手で、通知表にはいつも「思いやりがない、協調性がない」と書かれていたという長谷川さん。
大学時代にアルバイト先のオーナー夫妻に出会い、人生の転機が訪れます。
いつでも長谷川さんのことを褒めてくれたというオーナー夫妻に、「たくさんのアルバイトを見てきたけど、君は明らかにみんなと違う。だから、世界を変えるような特別な才能があるのかもしれない」と言われたことがきっかけでした。
このことで、「人と違うことは素晴らしいこと、才能になるんだ」と実感できたという長谷川さん。
学校では、一人だけ違う行動をすると「自己中だ」「空気を読め」と欠点ばかり指摘されていたことが、アルバイトをはじめたら「独創的に考え、リスクを恐れずすぐさま行動できること」が強みとなったのです。
そしてその長所を活かしていこうと起業家になり、のちに障害者の就労支援を行っている(株)LITALICOの代表取締役に就任することになります。