夫について不満やストレスが溜まり、「離婚したい」気持ちがいつしか「離婚しよう」に変わる。夫との生活に一度耐えられないと思うと、早く離れることばかり考えてしまいます。

ですが、肝心なのは離婚そのものより「別れたあとの自分はどうか」です。

その選択は本当に自分を救うのか、離婚した先に幸せはあるのか、夫に切り出す前にもう一度冷静に考える時間を持ちましょう。

離婚は「新しい希望」と思えるのが正解

1:思い通りに離婚するのは難しいのが現実

たとえば夫が浮気や不倫をしてその証拠もあり、明らかに夫婦関係を続けていくのが無理な状態なら、離婚を切り出せば夫は最終的に受け入れるしかない立場です。

また、モラハラやDVなど客観的に見て夫側に非があるときも、立証できれば離婚することは可能です。

いわゆる夫婦が話し合って納得する「協議離婚」以外は、一方が離婚したいと言っても相手がOKしなければなかなか難しく、その理由や親権、財産分与を巡ってストレスの多いやり取りを重ねることになります。

離婚届を出すまでに踏まなければいけないプロセスは多々あり、別れたいからすぐに実行できるものではありません。

本当に離婚したいのであればまずそのネガティブな時間に耐える胆力が必要であり、それを支えるのが「別れたあとの自分は幸せ」という希望です。

今の生活が嫌だから、で離婚を切り出し、夫の踏ん張りに心が折れて諦めた妻を筆者は何人も見てきました。

だからこそ、離婚を決めたときは「別れたあとの自分」を明確に信じられる強い心が必須だと感じます。

2:「どうして離婚したいのか」を忘れない

ある妻は、不貞行為までは認められないけれど、会社に出入りする保険の外交員の女性をLINEで熱心に口説き、その人のために自分に黙って保険の契約までしている夫を知り、離婚を決意しました。

夫とは5年ほどセックスレスであり、その女性に「隣が空いているけど、来ませんか」「デートしよ」などLINEを送っていること、毎晩スマホでアダルトビデオを検索していることなど、明らかに夫の心は離れているのがわかります。

自分に無関心なことは昔から気づいてはいたけれど、ほかの女性の存在を家の中に持ち込む夫に強い嫌悪感を覚え、「この女性と肉体関係を持つのも時間の問題かもしれないし、いずれ不貞をはたらくだろう」と思ったそうです。

記入済みの離婚届と離婚協議書、LINEの写真などを夫に差し出したところ、夫の第一声は「これで浮気と言えるのか」であり、それを見て離婚を決めたことやつらかったことなど、妻の気持ちにはいっさい触れることはありませんでした。

確かに、明確な不貞行為の証拠がなければ、夫は妻の要求を突っぱねることができます。

ですが、夫が本来考えなければいけないのは「こんなことをしている自分を見て妻がどう思ったか」であり、そこを無視して離婚しないと言い張る夫の姿は、とても誠意があるとは思えませんでした。

「こんな人間とは暮らせない」。妻はもう一度強い嫌悪感を覚え、絶対に離婚してやると決意します。

どうして自分は離婚したいのか、その理由が曖昧で弱いままでは、夫やその親族たちの反対にあったときに心が揺らぎます。また、家庭裁判所に離婚調停を申し立てたときも、まず重視されるのが離婚したい理由です。

「絶対に離婚したい」と思うのなら、その原因について主張を貫く力がないと、自分が負ける側になってしまいます。