3: 別れたあとの自分は幸せ?
離婚後は、子どもがいなければひとりになり、親権を持ったなら子どもたちとの暮らしが始まります。
住むところや生活費、子どもたちの学校など考えることは山ほどありますが、離婚したいと思うときはそれらを一つひとつクリアしていくことが重要です。
「何とかなるだろう」で離婚してしまい、養育費などきちんと取り決めをしなかったことで、生活が困窮していく妻は多くいます。そうならないためには、離婚する前にしっかり見通しを立て、養育費についても取りはぐれがないよう強制執行を認める公正証書にしておくことが欠かせません。
実際にどんな暮らしになるのか、子どもたちはどうなるのか、細かいところまで想像すること。何かあったときに誰に助けを求めることかできるか、利用できる公的な制度には何があるのかなども、離婚の前に確認しておきましょう。
夫の力がなくなる生活は、実家などの援助がある人を除けばほとんどの場合大変になります。
たとえ収入が夫と同じくらいであっても、日々の買い物から子どもたちの世話まで、すべて自分ひとりでやっていくことを考えれば、安易な離婚はおすすめできません。
大変さを理解した上で、それでも「私は離婚したあとのほうが幸せ」だと思えないと、後で後悔することになります。そして、悔やんだところで元夫と以前のように暮らせるかというと、現実は決して甘くはありません。
「夫のためにご飯を作らなくても済む」「機嫌をうかがいながら過ごさなくて済む」ような気持ちだけでなく、たとえば
- 「自分のペースで暮らせる」
- 「仕事と生活のバランスが良くなる」
- 「子どもたちと遠慮なく遊ぶことができる」
など、ポジティブな自分を想像できることが肝心です。
苦労はあっても、不幸な結婚生活を続けるよりずっと幸せ。それが本来の離婚の意味であり、「うまくいかなかった結婚生活」にとらわれるのではなく希望を持って新しい生活に踏み出すのが正解だと、筆者は思います。
4:「離婚したい理由」と「離婚したあとの自分」を信じる
「夫の浮気くらい我慢するべき」「夫婦でいることが当たり前」と、昔の価値観から抜け出せずに口にする人は大勢います。
夫婦は対等であり、愛情あるつながりを放棄する側が責められないこと、常に妻が忍耐を強いられるような関係が正しいとは、筆者は決して思いません。
「離婚は悪いこと」となるのは、切り出した側に非がある場合です。本当は不倫していてその相手と結ばれたいから離婚したいのに、嘘をついて配偶者のアラを探すようなやり方は間違っています。
それならば、配偶者に真実を話し、慰謝料を払って離婚するのが正しい筋です。
本当に離婚したいと思うときは、その理由と離婚したあとの自分を信じる強さが必須。進みたい方向が曖昧なままで進めようとしても、配偶者の理解は得られません。
逆にいえば、そこに自信がないのなら、安易な離婚など切り出さないのが吉。一度離婚を言われた側はこちらへの信頼をなくし、そこから元の状態に戻るのは本当に大変です。
目先のストレスだけで離婚を決めるのではなく、別れたい理由は何なのか、そして離婚したあとの自分は本当に幸せなのか、冷静に考えることが自分のためといえます。
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離婚は新しい希望、と筆者は考えます。
夫を責めるだけで離婚してしまい、その後の暮らしがまったく幸せでない女性を実際に見てきましたが、それは離婚に対しての覚悟が足りなくて「人生は自分で歩むもの」という意識が欠けているように見えます。
どんな選択であれ、背負うのは自分です。胸を張って離婚したいと思うなら、「そのあとの自分」をしっかり想像し、信じる強さを持ちましょう。