ママ世代のお客様からの疑問や心配事に、きちんと答えたい
――取材に対応してくれたのは、食品の品質管理を担当している小山郁さんと、マーケティング部でブランドコミュニケーションを担当している山本美和さん。
まず「マックのまるごとQ&A」についての成り立ちから伺ってみることに。
山本さん「もとは2015年に行われた『ママズ・アイ・プロジェクト』という企画内で立ち上がったものです。これまで、ママ世代のお客様中心にマクドナルドに関する様々な疑問や心配の声が寄せられていたんですね。それをう受け、では一度きちんとお客様の疑問に我々も答えたいので、質問を募集しようと。
その結果、都市伝説的なものから『トランス脂肪酸』のような専門的な食品成分のことまで、多岐にわたる質問が寄せられたんです。掲載されているのは、特にたくさんの意見が寄せられたこと、心配されていることへの答えです」
――ところで山本さんがおっしゃる「トランス脂肪酸」。ネットで検索してみると、「悪玉コレステロールが増える」「健康に悪影響を及ぼす」「アメリカでは使用が禁止されている」といったネガティブな情報が山のように出てくる。
実はマクドナルドはポテトなどを揚げる際、この成分が入った油を使っているとされ、それを批判するページが次から次へと出てくるのだ。実際のところはどうなのだろうか?
山本さん「通常、マックフライポテトはあの独特の外はカリッ、中はホクホクの食感を出すため二度揚げしていて、一度目はポテトの製造工場で行います。その時の油は100%の植物油(液体)を使用していますので、フライ油由来のトランス脂肪酸の量を大きく減らすことができました。
そして店舗でもお客様に提供する前の揚げる調理で二度目になります。日本ではその揚げ油はより風味を出すために植物油に牛脂をブレンドしています。牛脂には天然由来のトランス脂肪酸が含まれています」
小山さん「トランス脂肪酸が何かというと、油の成分の1つです。トランス脂肪酸には2つの種類があって、まずは牛肉や羊肉、牛乳などの乳製品に含まれる天然由来のものがあります。そしてもう1つは油脂を加工・精製する一部の工程で生成される加工由来のもので、ショートニングやマーガリンを加工する際に生成されます。
循環器疾患が多い欧米では、確かにトランス脂肪酸は食品業界や外食での規制対象となっています。しかしその対象は、トランス脂肪酸を含む『部分水素添加油脂』と呼ばれるもの。これはショートニングなどの油脂加工段階で生成されるものです」
――つまり、ネットで見かける「トランス脂肪酸はアメリカでは使用が規制されている」という記述は、間違いではないけれど説明不足。アメリカでも、牛肉や乳製品と同様に天然由来の牛脂については、加工由来のトランス脂肪酸のように直接規制されてきた訳ではないのだ。
とはいえ、天然由来でもトランス脂肪酸の過剰摂取により体内の悪玉コレステロールが増えるのは、日本でも農林水産省などが発表しているまぎれもない事実(出典:農林水産省「すぐにわかるトランス脂肪酸」)。すなわち、バランスのよい食生活が大切なのだ。
小山さん「アメリカ人と日本人では食生活が違うと言われています。欧米と日本人では一日に摂取する脂肪の量が大きく違いますし、食品安全委員会が発表したデータでも、日本人が一日に摂取するトランス脂肪酸の量は、WHO(国際保健機関)の推奨量よりも低い結果が出ているのです。
ただし、健康的な食生活は、脂肪やコレステロールなどの過剰な摂取を避けて、バランスのよい食事を心がけていくことが重要であり、マクドナルドはこれからもホームページ等を通じてメニューの栄養情報のご提供とバランスのよい食生活をご提案していきます。
またトランス脂肪酸についても、マクドナルドのホームページで紹介しているので、ぜひこちらもご確認くださいね」
――ちなみに「食品安全委員会」が発表した「トランス脂肪酸の食品健康影響評価の状況」による、アメリカ人と日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量はアメリカ人2.2%に対し、日本人はたったの0.3%。割合にすると約7倍の差があった。
肥満や循環器系疾患が大きな社会問題だった欧米の事情を理解し、今後の取り組みに学ぶことが重要なのだろう。