3.『カーズ』&『カーズ/クロスロード』
『カーズ』シリーズは、現時点で3作あります。
が、『カーズ2』は個人的にスピンオフ的な作品なので、続編モノとしては『カーズ』&『カーズ/クロスロード』をおススメ。
新星ルーキーとして彗星のごとく現れ、生意気で調子に乗りきったマックィーンの、内面的成長を描いたのが、第1作『カーズ』。
第3作の『カーズ/クロスロード』では、次々現れる新型ルーキーの勢いに押され、ベテラン勢呼ばわりされるのが受け入れられず、ある事件をきっかけに、現役続行か引退かの道を迫られます。
ルーキーからベテランへ…迫られる選択
中堅からいつのまにかベテランの立ち位置になり、それを受け入れられず、自分はまだまだ行ける!と思いたいマックィーン。
ですが、戦績や周りからの評判が、引退をほのめかせて来ます。
一度立ち止まり、育成施設で新たなテクニックを身に着けようと奮闘しますが、周りからは「現役を引退して、ブランド商品事業に回ったらどうだ」なんて言われる始末。
このあたりの描写、めっちゃくちゃリアルですよね…。
そして、育成施設で出会ったトレーナー、クルーズとの出会いによって、徐々に考えを変えて行くマックィーン。
かつての師匠、ドッグの足跡を辿りながら、最後は彼らしい選択で、新たな道を切り拓きます。
成長の過程がエモすぎる!
新星ルーキーとしてブイブイ言わせていた、あの生意気なマックィーンが、色んな出会いや経験を経て、こんなにも彼らしくて素晴らしい決断を下せるようになるなんて…!
と、シリーズを通して見て来たファンからしたら、もうエモさ爆発。
自信満々のルーキーから、円熟期の中堅時代、そして現役と引退で揺れ動くベテラン…
作品を続けて観ることで、マックィーンの成長や変化を、よりリアルに目の当たりにすることが出来ますよ!
4.『ファインディング・ニモ』&『ファインディング・ドリー』
『ファインディング・ドリー』は、『ファインディング・ニモ』の1年後が舞台。
ドリーのフラッシュバックをきっかけに、両親と自分のルーツを探しに行く物語です。
続編としては、13年もの年月が空いての公開ですが、「え、もしかして『ファインディング・ドリー』の方が先に作られてた…?」と、驚く内容でした。
それほどに2作の関係性が秀逸で、特にドリーのキャラクターとしての掘り下げられ方が、尋常じゃないレベル。
そもそも『ファインディング・ニモ』の時点で、字が読める、クジラ語が話せる、健忘症なのに「泳ぎましょ」の歌だけは忘れない…と、キャラクターとしてかなり特異なドリー。
『ファインディング・ドリー』では、上記の能力についての答え合わせが全てできるのですが、そもそも本作がないと、ドリーのキャラクターを生み出す事すら難しいのでは?
掘り下げる、というよりかは、どっちが先?!といった、ある種タイムスリップのような錯覚さえ起こさせる本作の出来に、鳥肌が立ちました。
ようやく会えたドリーの両親
両作とも、親子の物語として秀逸なところも共通しています。
(『ファインディング・ニモ』のラストシーン「パパ大好き!」で毎回号泣してしまう…)
ようやく会えたドリーの両親の、大きな愛にも胸を打たれました。
「何でもすぐに忘れちゃう」ドリーを決して否定せず、根気強く向き合い、優しさで包み込む2人。
いなくなった幼いドリーをすぐに追いかけ、唯一の手掛かりである貝殻を何年も何年も敷き詰め、娘を信じてずっと待っていました。
心配でたまらなくて、方々探しに行きたかっただろうに、娘を信じてたからこそ、その場所を動かなかった。
自分たちの愛情を思い出し、いつか絶対に戻って来てくれると信じて、ただ寂しさに耐え、じっと待ち続ける…
なかなか出来る事じゃないですよね。
失われた長い年月を埋めるように、ドリー親子が共にこれから楽しく過ごせる事を、願うばかりです。
もはや実写?!映像の進歩が凄い
そもそも「水」という要素は、アニメーションで描くのがとても困難です。
『ファインディング・ニモ』当時も、3Dアニメで描かれた、美しいグレートバリアリーフの映像は、大きな話題となりました。
13年の年月を経て制作された『ファインディング・ドリー』の映像は、いよいよ実写と見まがうほどのレベルで、息をのむほどの美しさ。
濁った海中でゆらゆら揺れるジャイアントケルプ、どこか不自然なほど透き通った、水族館の大きな水槽、遠くからやってくるエイの大群…
アニメーションで作られたものだと言われても、ちょっと信じられません。
そもそも、メインキャラのハンクがチャレンジング過ぎる!
あらゆるものに擬態し、透明になることも可能で、陸も水中も自在に移動する軟体生物のタコなんて、アニメーターならまず避けたいモチーフ。
そこにあえて真っ向から挑戦し、素晴らしいキャラクターを本当に作り出してしまう、ピクサーのチャレンジ精神にはもう、感嘆の一言です。
美しい海の映像、ニモ&ドリー親子の絆など、見比べる要素が盛りだくさんの本作を、ぜひ続けて鑑賞してみて下さいね!