2020年は教育改革の年などと言われていますが、教育の現場ではいまだに学歴が重視される風潮が強いのも事実です。したがって子どものより良い人生のためには、大学くらいは行かせたいと思う人がまだ多いのではないでしょうか。
ところが、大学の学費の上昇傾向が止まりません。こちらの資料によると、国立大の「授業料」は 34 年間で 14.9 倍、「入学料」は 5.6 倍、私立大の「授業料」は33 年間で 4.6 倍、「入学料」は 2.9 倍 という数字が出ています。しかも今後もまだまだ上がるのではとも言われています。
一方、ほとんどの人の生涯賃金は右肩下がり。今後さらに学費が上がれば、親の負担も増えますよね。
子どもの教育資金をどうするかは、どの家庭でも悩むところ。教育資金といえば学資保険が真っ先に浮かぶ人もいるかもしれません。ですが今の時代、学資保険が最善の選択肢なのでしょうか?
『保険ぎらい「人生最大の資産リスク」対策』(萩原博子 著)を参考に、子どもの教育資金対策について検証します!
学資保険は損?
子どもの教育資金を考えたとき、長年根強い人気を誇ってきたのは、郵便局の学資保険(現在はかんぽ生命の「はじめのかんぽ」)。
いまだにおじいちゃん、おばあちゃん世代には、学資保険といえば郵便局という意識が強く、子どもが生まれてから両親から強く勧められたという人もいるかもしれません。
しかし、学資保険は今も有効な教育資金対策なのでしょうか。
『保険嫌い 「人生最大の資産リスク」対策』の著者・荻原さんは、「学資保険は旨みなし」とバッサリ。
おじいちゃん、おばあちゃん世代が学資保険を勧めるのは、自分たちが子どものために預けた学資保険が、子どもの進学時に大きく増えて返ってきた経験があるから。ざっくり言うと、今から30年前は100万円預けたら、180万円になって返ってくることもあったそう!
ところが、今、同じだけ学資保険を支払い続けても30年前と同じ額は戻ってきません。なぜでしょうか。
30年前といえばバブル期でかなり金利は高かったため、学資保険の返戻率も高かったのです。今は超低金利時代、学資保険の返戻率は下がり続け、高い返戻率は望めません。
学資保険を選ぶなら「返戻率」チェックはマスト
「返戻率」という言葉、保険に詳しくない人には耳慣れない言葉かもしれません。「へんれいりつ」と読みます。
返戻率とは、「支払う保険料の総額」に対する「満期保険金 + 祝い金」の割合のこと。この数字が高ければ高いほど貯蓄効果が期待できます。
明治安田生命、ソニー生命などが比較的高い返戻率で人気ですが、それでも105%前後です。かんぽ生命にいたっては元本割れの可能性も。
返戻率は払い込み期間、支払い方法など諸条件によって変わりますが、それにしても元本割れでは残念すぎます。
学資保険は投資ではないのですから、元本割れのリスクがないことが魅力だったはずなのに、なぜそんなことが起きるのでしょうか。