『ユビキリ』(『ご愁傷さま二ノ宮くん』OP主題歌)
こちらも2007年度のテクノポップ系アニソンの名曲。富士見ファンタジア文庫から刊行されていた同名ライトノベルをアニメ化した『ご愁傷さま二ノ宮くん』のオープニングを飾った楽曲です。
アニメの中でそれぞれヒロインを演じた門脇舞以さんと沢城みゆきさんによるデュエットによる楽曲で、キラキラとしたメロディとお二方の歌声のシンクロが堪りません。
特に、サビのメロディの強さは、ただただ素晴らしいの一言。シンプルに高揚感があって、どこまでも上り詰めていくシンセイサイザーの音色は、多幸感に溢れています。
リズミカルに歌詞が綴られるAメロから、歌い上げるBメロへ、そして、門脇さんと沢城さんの伸びやかな歌声を堪能できるサビへと至る。
ポップソングとしてスタンダートな構成の曲ですが、各パートのメロディに力がある為、リスナーに強い印象を残す曲ですね。とことんガーリッシュな歌詞も素晴らしいの一言。
『人として軸がぶれている』(『さよなら絶望先生』OP主題歌)
全3期のテレビシリーズとOVAで展開される人気作となった『さよなら絶望先生』。その第1期の放映開始も2007年のアニメ史を振り返る上で、大きなトピックです。
オープニング曲として使用された『人として軸がぶれている』は、「筋肉少女帯」のメンバーであり、作家やタレントなどのマルチな活動で知られる"オーケン"こと大槻ケンヂさんを中心にアニメの出演声優さんで結成された特別プロジェクト「大槻ケンヂと絶望少女達」による楽曲です。
文系人間にとってのカリスマであるオーケンの世界観と、ロジカルかつペシミスティックで捻くれた視点から世の中を斬る『さよなら絶望先生』のブラックな笑いは相性抜群で、この年のアニソン界でも特異な輝きを放ちました。
作曲を担当しているのは、大槻さんと"パンクチーム"「特撮」で活動を共にし、音楽面でのブレーンを務めるNARASAKIさん(COALTAR OF THE DEEPERS)。また、バックの演奏も、特撮のメンバーが担当をしています。
オーケンのアーティスト性がアニメと見事にリンクを果たした作品として、『さよなら絶望先生』は決して忘れることができません。
また、後に『はなまる幼稚園』や『デッドマン・ワンダーランド』『UN-GO』といった作品の音楽を手掛けることになるNARASAKIさんのアニメにおける初期ディスコグラフィーという点でも、強く記憶に留めておきたい楽曲です。
『経験値上昇中☆』(『みなみけ』OP主題歌)
『さよなら絶望先生』と同じく、2007年にテレビアニメ化され、以降、テレビシリーズが4期に渡って制作されるロングランシリーズとなったのが『みなみけ』です。
『みなみけ』は、主人公である3姉妹の日常を、ちょっぴりシュールなギャグを交えて描くコメディ作品。アニメ本編の前に流れる「この物語は南家3姉妹の平凡な日常を淡々と描くものです。過度な期待はしないでくだい」という作品性を見事に体現した秀逸なコピーでも知られています。
アニメ版は、各シリーズ毎に製作会社や制作スタッフにバラつきがあり、その作風の違いも楽しめるアニメでした。
記念すべき第1期のオープニング主題歌であり、同作を代表する楽曲としてファンに愛されているのが、この『経験値上昇中☆』です。
主役を演じる佐藤利奈さん、井上麻里奈さん、茅原実里さんの3人が歌うこの曲は、とにかくポップで、聴いているだけで心が弾むような楽曲です。曲間に入れられる合いの手も楽しく、明るい作風なアニメ本編との相乗効果も抜群でした。
以降のシリーズでも、このお三方による声優ユニット「みなみけ3姉妹」がオープニング主題歌を担当するフォーマットが定着。歌もキャラクターも長く愛される作品となりました。