少女漫画のアニメ化作品や、乙女系ゲームを原作としたアニメなど、女性向けの作品が、とても充実している印象を受ける2017年の春アニメ。

思わず、男性である筆者もイケメンキャラクターたちが織り成すドラマにクラクラしてしまう今日この頃なのですが、そうした作品の主題歌も素晴らしい曲が揃っています。

今回、ピックアップさせていただくのは、『王室教師ハイネ』オープニング曲の『しょっぱい涙』。情感タップリなギターの音色とグッドなメロディ、そして、魅惑の歌声が三位一体となった良曲です。

メジャーデビュー曲に相応しい溌剌さと初々しさが同居する一曲!

『月刊Gファンタジー』連載の赤井ヒガサ先生によるコミックをアニメ化した本作。中世ヨーロッパを思わせる世界観を舞台に、何れもアクの強い性格をした4人の王子と、彼らのもとに赴任した王室教師、ハイネの心の交流を描く作品です。

流麗なキャラクターデザインと、大胆なデフォルメによる"崩し"が入り交じる演出が観ていて何とも愉快で、性別関係なく楽しめる作品ではないかと思います。個人的な好みで恐縮なのですが、一見すると強面でぶっきらぼうにも関わらず、その実、誰よりも穏やかで心優しい内面を持つカイ王子が非常に可愛いくて素敵です。

この作品のオープニング曲として使用されているのが、阪本奨悟さんの『しょっぱい涙』です。『ミュージカル テニスの王子様』の越前リョーマ役で知られ、所謂"2.5次元"ファンからの人気も高い阪本さんにとってメジャーリリース第一弾となる曲であり、メジャーデビュー曲に相応しい溌剌さと初々しさが同居する楽曲となっています。

飾り気のないサウンドだからこそ活きる、歌声、メロディ、歌詞世界

一聴して耳に残るのは、何と言っても阪本さんの美声です。元々の声質の美しさに加えて、歌詞の一語一語を大切に取り扱うかのような歯切れの良い発声や、メロディを丁寧に拾い上げる音感の良さ、"シンガー"としての優れた可能性を感じさせるヴォーカルスタイルは、この曲に大きな魅力を与えています。

バックの音は、歌を前面に押し出す為か、極々シンプルなアレンジに留められている印象を受けます。音数こそ決して多くはありませんが、だからこそ、各楽器の音が却って響き渡る豊かさを備えています。特に、ギターの音が素晴らしく、人間味に溢れたその音色は、坂本さんの歌声と合わせて、大きな聴きどころとして推薦させていただきます。

サビにおけるメロディの強さも忘れてはいけません。「何十回、何十回」とリフレインする歌と合わせて、歌詞とメロディが同時にリスナーの頭へと極々自然に流れ込んでくる構成は、お見事の一言。優れたポップソングの多くがそうであるように、言葉と音が強く結びついて、歌詞がメロディに、メロディが歌詞になっているのです。

また、人間関係に対するセンシティヴな感性を持つ「僕」を主人公とし、「君」との結び付きを描く歌詞世界は、ストレートなラブソングとも取れますし、同性同士の友情と親愛を描いた歌とも取れる内容で、中性的かつ大いにイマジネーションを働かせる余地のある出来になっています。

飾り気のない曲だからこそ、歌が、歌詞が、そして、歌詞によって構築される世界が際立つ秀逸な楽曲です。

フルサイズは、各音楽配信サイトにて好評配信中です

『しょっぱい涙』は、『鼻声』との両A面シングルという形で、5月31日に発売予定です。CDのリリースは、まだまだ先ですが、各音楽配信サイトにて、フルサイズの楽曲が先行配信されていますので、『王室教師ハイネ』を観て気になった方は、チェックをオススメいたします。

TVサイズですと、1番と2番の歌詞をミックスさせた編集がされていますので、全編を通して聴くと、また印象が変わるかと。本当に良くできた秀逸な曲ですので、"乙女系"という枠を超えて男女問わず聴いていただきたいと思います!

都内在住の極々平凡なサラリーマン兼、アニメ、音楽、プロレス、映画…と好きなものをフリーダムに、かつ必要以上に熱っぽく語るBLOG「さよならストレンジャー・ザン・パラダイス」管理人。永遠の"俺の嫁"である「にゃんこい!」の住吉加奈子さんと共に、今日も楽しいこと、熱くなれることを求めて西へ東へ。