“囚人の穴掘り”という言葉をご存知ですか?
昔のヨーロッパに、囚人に穴を掘らせては看守が埋め、また掘らせては埋めるのを延々と続ける刑罰「囚人の穴掘り刑」があったそうです。
労働の過程も成果も目の前で否定される、その精神的苦痛から狂ってしまう囚人もいたそうです。
実は、これと似たようなことを、子育ての中でしていることがあるのです。
『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』の著者の立石美津子が詳しくお話しします。
子育ての中で見られる「囚人の穴掘り」とは
お手伝いが上手に出来ないとき
子どもにお手伝いをさせたくて皿洗いをさせました。ところが、きちんと汚れが取れていません。
こんなとき、親がつい言ってしまうこんな言葉…。
「ちゃんと洗えていないじゃない!もういっぺんやり直し!」
洗濯物を畳ませて、グチャグチャのときも同じように言ってしまいます。
「ちゃんと畳めていないじゃない!最初からやり直し!」
夫相手でも同様です。
たとえば子育てを手伝ってくれた時、「上手に寝かしつけてくれない」「哺乳瓶のミルクが熱すぎる」など、ママの思う通りのやり方をしてくれないと「そうじゃなくて、こうなの!」とダメ出しをしてしまいます。
ベストな対処法
夫に対しても子どもに対しても「それを完璧にやらせる」というより、「手伝いの習慣をつけること」が目的ですから、完璧を求めずあれこれ言わない方がよいでしょう。
子どものお手伝いがママにとって満足のいかない出来だった場合、二度手間になりますが、子どもが寝てからやり直しましょう。
そして、翌日「今日からはお皿の裏側も洗ってね」「タオルは四隅を揃えて畳んでね」とアドバイスすればよいのです。夫にも同様です。
運動会で負けたとき
運動会の徒競走で一番になれなかったわが子。親も子どもに対する期待もあり、励ますつもりでついかけてしまうこんな言葉…。
「優勝できなくてお前は悔しくないのか!もっと頑張れ!」
「今度は絶対一番になれるよ。だから頑張ろう」
子どもは「今度一番になれなかったらどうしよう」とプレッシャーを感じてしまいます。
ベストな対処法
運動会のために練習したことで体力もついています。運動能力も上がっています。ただ、結果が伴わなかっただけ。こんなときは次のように言いましょう。
「一番になれなくて残念だったね。でも、頑張って最後まで走って偉かったね」と、一番になれず悔しい思いをしている子どもに共感し、努力した過程を認めましょう。
100点が取れなかったとき
「白か黒か思考」「全か無か思考」で「100点でなければ認めない、90点取るのは0点と同じこと」と、完璧を求める人がいます。
たとえ成績が満点でなくても、勉強したことによる学力は必ずついています。
ベストな対処法
「100点取れなくて悔しいね。でも、この間の点数よりアップしたね。今度のテストで頑張ろうね」と言いましょう。
100点でないと認められない育てられ方をすると、自分が出来ていることもあるのに、そこには目が行かない完璧主義者になってしまいます。
そして100点でいられないことに対して将来、「自分はダメ人間だ」と思うようになってしまいます。