自由奔放な構成は、絶対にフルサイズで聴くべきです!
90秒のテレビサイズでも、その衝撃はかなりのものですが、フルサイズで体感すると、更に、その衝撃度は増します。
歌と言葉は、曲の進行に伴って奔放さを増していき、突然、QUEENの名曲『Bohemian Rhapsody』の「 (Oh mamma mia, mamma mia) Mamma mia, let me go」というリリックがサンプリングされたかと思えば、次の瞬間には主人公のひなこによる朗読劇がスタート。
発声練習に早口言葉、台詞の掛け合い、有名ロックミュージックのパロディに朗読まで……どこまでもフリーキーに、そして、天真爛漫に曲のラストまで疾走していく展開は、「アヴァンギャルド」という言葉を形容詞として使用しても差し支えがない程、圧倒的な独自性を有しています。
しかしながら、この曲と『ひなこのーと』というアニメ作品の間には全く乖離がありません。寧ろ、この作品にはこの主題歌以外にありえない、そんなジャストフィットな安心感があるのです。
何故か? それは、この曲に込められた「言葉」を主軸とする仕掛けの数々が、全て「演劇」という作品のテーマから派生しているからだと思います。
作品のメインテーマを捉えているからこそ活きるフリーダムな音世界
曲のタイトルにもなっている発生練習のフレーズにしろ、曲中の早口言葉にしろ、そして、朗読にしろ、フリーダムに放たれる言葉の数々は、その実、メインテーマである「演劇」へと帰結します。唐突とも思えるQUEENのパロディにしても、これも恐らくは、同バンドがロックミュージックにオペラの歌唱法や曲調を取り入れていたことを意識しての引用なのでしょう。
『ひなこのーと』や演劇といった作品性、モチーフをシッカリとメインに据えているからこそ、この曲は歌劇的な要素を取り入れ、より一層の広がりを見せているのです。
こうしたとことんポップでハイテンションかつ超個性派なアニソンが使われている作品というと、芳文社刊の4コマ漫画雑誌掲載作を原作とした所謂「きらら系アニメ」が真っ先に思い浮かびますが、後続の『コミックキューン』発の作品から、こういったユニークな楽曲が誕生したというのは、如何にもおもしろく、決して見逃せないポイントです。
オープニングアニメーションを見てみれば、成る程、出演声優によるオリジナルユニットの結成、デフォルメを多用した演出、キャラクターによるダンスといった「きらら系アニメ」のツボをキッチリと抑えつつも、『あ・え・い・う・え・お・あお!!』という曲の独創性が『ひなこのーと』に、この作品ならではのポップなプラスアルファを与えています。
今後も続くであろう『コミックキューン』原作のアニメに対しても、その音楽面への期待を大いに膨らませてくれる『あ・え・い・う・え・お・あお!!』。是非とも、フルサイズで堪能していただければと思います!