子どもは、親に甘えるもの。そして、その甘えを無条件に親に受け入れられるのが普通の親子関係ですよね。

ところが、この親子関係が逆転してしまっている親子がいるというのです。

親が子どもに甘えている……そんな逆転現象が、親子関係の中で起きてしまっていたら……。

加藤諦三さんの著書『子供にしがみつく心理 大人になれない親たち』より、そんな親子関係の歪みとその影響、対策などを紹介します。

自分は大丈夫か? ぜひチェックしてみてください。

子どもより自分の願望が主体になっていないか?

「親子の役割逆転」は親の悪影響の中でも最も深刻なものである、と加藤さんは言います。

最近、「毒親」という言葉が浸透してきましたが、まさにその「毒親」の最たるものと言えるかもしれません。

子供のころ、十分に甘えられなかった人が大人になり、仕事や恋愛でも自己実現を図れないまま親となったとき、我が子にしがみつき、「母」を求めて甘えてしまう……これが「親子の役割逆転」が起きる原因だといいますが、以下のような傾向があるとき、この状態に陥っている可能性があります。

1.    子どもが親の話を聞いている

親の苦労話、自慢話を子どもに聞かせていませんか?

子どもが「すごいなー」と聞いてくれないと親が不機嫌になる、となれば子どもも本当は自分のことを話したいのに、親の話を聞かざるを得ない状況になってしまいます。

2.    家族旅行も親の希望が主体

子どもが喜びそうだから、子どもが行きたがっているからここに行こう、ではなく、親が子供時代にしたかったこと、行きたかったところ、そんな希望を叶えるための家族旅行になっていませんか?

旅行中も、子どもが楽しそうにしていないと、親は満足できません。親が不機嫌になるとイヤだから、子どもはがんばって楽しそうに、嬉しそうにします。

3.    自分が与えたいものだけ与える

親は、なんでも子どもに買ってあげている、と思っているのに、子どもが満足していない場合、子どもが本当に欲しいものではなく、親が買ってあげたいものだけ買ってあげているのかもしれません。

実は、甘えているのは買ってもらっている子どもではなく、買ってあげたい気持ちを満たしている親のほうだというのです。

4.    自分の都合で子どもを休ませる

例えば、子どもがサッカーが好きだからと、観戦などに連れて行くために学校を休ませる親がいます。でも、普段子どもが「お腹が痛いから学校を休みたい」などと言うときには、学校を休ませることを渋ります。

これは、親が「子どもといっしょにサッカーに行く」という家族の団らんを求めていて、自分の欲求と子どもの欲求が一致するときにはいいけれど、そうでない場合は子どもの欲求を特に叶えたいわけでないのです。

この親は小さい頃家族団らんがしたかったり、スポーツ観戦をしたかったのかもしれません。「子どものため」と言いつつ、実は自分のため。その欺瞞に、自分自身では気づけないのだと加藤さんは言います。