撮影:星野洋介
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  • 「ところざわサクラタウン」に隣接する森で展示されている「チームラボ どんぐりの森の呼応する生命」
  • 御船山楽園(九州・武雄温泉)の約50万㎡の大庭園を舞台に展開する「チームラボ かみさまがすまう森」は今年で6回目の開催
  • ソウルの東大門デザインプラザ(DDP)にて2020年9月18日から2021年3月28日まで行われる個展「teamLab: LIFE」展示作品

新型コロナウイルスの感染拡大による休館から、ようやく再開されはじめた美術館。各館は日本博物館協会の感染防止ガイドラインに沿い、それぞれできる限りの対策を行い、運用を行っている。

アートコレクティブとして活動するチームラボは、自らの作品を発表するアーティストとしての活動とともに、ミュージアム運営を行い、企業活動も活発に行なっている。

チームラボ代表・猪子寿之氏へのインタビューの後編は、施設運営やwithコロナ時代の会社のあり方などを伺う。

コロナ禍でのミュージアム運営

── チームラボは、6月に福岡市にオープンした「チームラボフォレスト - SBI証券」やお台場の「チームラボボーダレス」、豊洲に「チームラボプラネッツ」など国内外に複数のミュージアムを運営されています。このコロナ渦で状況はいかがでしょうか?

猪子寿之(以下、猪子) 相当厳しいですね。これは新型コロナ感染予防対策のガイドラインに沿った運営をしているためではなく、もともとは外国人来場者が非常に多かったためです。

お台場の「チームラボボーダレス」は、開館から1年の、年間来場者数が約230万人なのですが、そのうちの約50%は外国からのお客様です。

アンケートを取ったところ、外国人のうち約半分がチームラボの作品を見るために日本に来たという回答をいただいています。平日は約7割のお客様が外国人でしたしね。

現在、日本の入国規制は若干緩和される傾向にあるようですが、観光目的での入国が許されるのは先の話。現状は外国人観光客を全く見込めないので非常に厳しいです。

── 海外での展示状況はいかがですか?

猪子 国によって異なりますが、東アジア諸国の多くは、日常生活を送るのに問題がない状態になってきていますね。

上海の常設展示「teamLab Borderless Shanghai」は3月に再開しましたし、マカオの常設ミュージアム「teamLab SuperNature Macao」はなんとか6月にオープンできました。

9月からは韓国の東大門デザインプラザ(DDP)で個展「teamLab: LIFE」を開催する予定です。台湾も順調に回復しつつあると聞いています。

その一方で東アジア諸国と比べると、日本は非常に中途半端な状態で、状況判断が難しいです。

ソウルの東大門デザインプラザ(DDP)にて2020年9月18日から2021年3月28日まで行われる個展「teamLab: LIFE」展示作品 ©️チームラボ

── withコロナで施設運営のオペレーションなどの変更はありましたか?

猪子 チームラボのミュージアムは、入場に関しては日時指定制にしております。

「チームラボボーダレス」オープン時に、世界中から来るお客様のために入場チケットの予約システム「チームラボチケットシステム」を自社で構築したのですが、現在はこのシステムについて外部から多く問い合わせをいただいている状態です。

新型コロナウイルス感染予防のためのガイドラインに沿って運営しようとすると、やはり入場の仕組みが問題になるようですね。

チームラボの施設に関しては入場者数をしっかりコントロールしているので、館内ではこれまでよりも快適に鑑賞ができる環境になっています。まだ来ていない方はぜひ見に来てもらいたいと思っています。

── 混雑のない状況は鑑賞者には非常にありがたいですが、運営する側としては由々しき問題ですね。

撮影:星野洋介

猪子 正直、非常にキツイです。コロナ前よりも、時間ごとに入場できる人数を絞っていますが、それでも定員に達することはありません。

チームラボのミュージアムのみならず、日本各地の美術館はいま非常に閑散としていると聞いています。

通勤時の電車の何十分の1の密度でしか人がいないのに、電車にはガイドラインがなくて、美術館には厳密な取り決めがあるのが不思議だと思っています。

ガイドライン制定時の3月、4月は新型コロナウイルスに対して未知のことが多かったですから、厳密すぎる部分があっても仕方ないとは思うのですが……。状況改善を願うばかりです。