2)妻が復職するタイミング

次の育休取得のタイミングとして検討して欲しいのは、翌年の春、保育園の入園が決まったときです。妻にとって復職は生活の激変になります。

夜中に数時間置きに授乳している場合などは、それで家事もこなして仕事もこなす(最初は半日程度だったとしても)というのはかなりの負担でありストレスです。

実際問題として、最初の数カ月、復職したばかりの女性はほとんど意識朦朧としながら職場で過ごしているような感じだそうです。

保育園も最初の1カ月は「預ける」より「慣れる」のほうが優先で、いきなり朝から夕方6時まで預けられるわけではありません。園の方針と子どものなじみ具合によりますが、最初は数時間預けてすぐ引き取り、というところからスタートです。これでは妻は仕事になりませんので、直前になって半月復職を遅らせるという人もいます。

妻の復職のタイミングで父親が1~2週間の育休を取ることは、もしかすると育休を取得する最後のチャンスかもしれません。夫婦ともに育休を取得する場合、子が1歳2カ月になるまで、というのが原則なのですが、保育園入園時はこのラストタイミングだからです。

たった一週間でも、「仕事も育児も全部やる」から妻の負担を軽くしてあげられますし、その後の「家事や育児の分担」を考えるうえでも、仕事を完全オフにして家事と育児に向かい合ってみてはどうでしょうか。

ただ、ちょっと悩ましいのは「年度初めの4月」というのは会社の仕事でも新年度のスタート時期にあたるため休みにくいケースがあることです。上司と相談するしか対策はありませんので、計画的な育休取得を目指してみてください。

3)妻や子が体調を崩したとき

最後は緊急対応としての男性の育休です。育児休業中の妻が体調を崩した場合、当然ながら育児をしている余裕がなくなります。入院となればなおさらです。

あるいは子ども自身が大きく体調を崩すこともあります。入院になって、病院から親の24時間付き添いを希望されることもあります。

こういうとき、有給を取得すれば給与は減りませんが有給の残日数が減ってしまいます。看護休暇という制度もありますが、多くの場合無給になります。夫が収入ゼロはちょっと困るという人は、「すみません。妻が入院になるので、育休取らせてください」と相談してみてはいかがでしょうか。

会社が男性育休取得目標を掲げているならこれはチャンス

「男性の育休なんて相談しても上司に拒否されるに決まっている」と最初からあきらめている人がいます。しかし、世の中の流れは変わりつつあります。

まず、会社のいろんなインフォメーションをチェックしてみてください。「男性も育休を」という奨励や「男性育休取得目標○%!」のような数字が出ているようならこれはチャンスです。会社全体で、男性に育休を取得するよう促しており、この場合は職場ごとに目標値があったりして、上司の理解も得られやすいからです。

職場に前例があれば話は比較的通りやすくなりますので、パパとして先輩にあたる職場の同僚に話を聞いてみるのもいいでしょう。

初めてのケースにあたる場合も、有給を一週間取るのと、育休を一週間取るのは基本的に同じですから、とぜひ会社を説得してみてください。もちろん仕事に支障がないよう事前引き継ぎはしっかりしておきたいものです。あなたのケースが後輩パパの前例になるかもしれませんので、うまく交渉してみてください。

ちなみに、育休を理由とした人事評価のマイナス、降格や減給は禁止されています。もちろんこれを理由にクビになることもありません。堂々と育休の相談をしてみましょう。

まとめ:育休は会社員だけの特典!男性も利用すべし

ざっと男性の育児休業についてまとめてみました。半年あるいは一年の育休というのはなかなか取りにくいかもしれません。だからといってあきらめてしまうのはもったいないものです。なぜなら、育休で給付金をもらうのは会社員だけの特典だからです。

フリーランス(個人事業主)はもちろん、会社の経営者も育児休業給付金の対象外です(雇用保険に入っていないから)。私も育休の給付金をもらおうと思って調べたら、自分が対象外だと気がついて「仕事はまったく減らさず、家事育児する」ということになりました(社員がいない個人商店の社長なので雇用保険の対象外)。

二人目の誕生時には10日ほどの入院期間、長男の相手をしつつ毎日病院にも通い(長男と母親を会わせるため)、かつ原稿の締め切りも守っていたので、さすがに死ぬかと思いました。ここで長男が病気になったらおそらく仕事は破綻していたことでしょう。仕事を休んで、家庭に専念しながら給付金がもらえるのはとても助かることです。

数週間から数カ月程度でもかまいません。会社員の男性は、ぜひ、「男性の育休」を取得して、家事や育児に取り組んでみてください。きっとその後何年にもわたって、子どもに対する距離感を近くとることができると思いますよ。

 

やまさき・しゅんすけ 「人生の幸せの問題は、たいていはお金の問題である」という考えのもと、お金と幸せについて考えるファイナンシャル・プランナー(FP)。公的年金制度・退職金制度、投資教育が専門。Twitterでは毎日一言「お金の知恵」をツイートしてます。副業はオタクで、まちあるき、アニメとコミック、ゲーム好き。所属学会は東京スリバチ学会と日本年金学会