「早く寝なさい!」と叱っても、遊びに夢中でなかなか寝ようとしないわが子。そんなときつい「早く寝ないとお化けがくるよ~」とつい言っていませんか?
“鬼アプリ”もあるようですが、子どもの躾をするとき「脅す」のは良い方法なのでしょうか。
『1人でできる子になる 「テキトー母さん流」 子育てのコツ』の著者の立石美津子が“脅す躾”についてお話します。
理由付けが必要ないケース
子どもへの躾は犬猫への躾と同じ
犬や猫に躾をするとき「これこれこうだから、こうしないとダメだよね」といちいち説明しません。「お座り!」「待て!」「伏せ!」など指示命令だけをします。
人間の子どもは犬や猫とは違いますが、まだまだ人生経験の短い子です。くどくど理由を説明しても伝わらないこともたくさんあります。更に理由を付けられない社会のルールと言うものもあります。
ですから、子どもがご飯を立ち歩きながら食べたとき「食事というものは食卓に座って食べるものですよ。何故なら…」と話をしないで、「座りましょう!」指示命令を出すことも必要ですね。
くどくど説明した私の失敗談
先生として授業をしているとき帽子を被ったままの5歳児がいました。理由を説明したら次のようになってしまいました。
私(先生)「○○君、授業中は帽子を脱いでね」
子ども 「どうして帽子をとらないとダメなの?」
私(先生)「だって、ここはお部屋の中だし、太陽も照っていないでしょ」
子ども 「でも、俺は部屋の中では帽子を被っていたいんだ。俺の自由だ」
私(先生)「でも、室内では帽子をとるのがマナーよ」
子ども 「誰が決めたルールなんだ?」
私(先生) 「…」
それ以上何も言えなくなってしまいました。なんでもかんでも説明していたので、先生として甘く見られていたのでしょう。
最初から「先生の言ったことに従わないのならば授業は受けられません」くらいの毅然とした態度をしていればよかったと反省しました。
理由付けすることも大切ですが、子どもに躾をするときは“ならぬものはならぬ”の精神も大人側には必要なのかもしれません。
理由を説明した方がよいケース
スーパーに行くと子どもにとって興味のあるものがたくさんあります。子は買いもしないのにほうれん草を触ったり、バナナをいじったり、鶏肉パックのラップ部分をブスブスと指で突いたりします。
こんなとき「コラ!」「ダメ!」だけだとこれに条件反射するだけで、親が見ていないところでまた同じことをやったりします。
また、「お店の人に怒られちゃうよ」の注意の仕方だと、子どもは「お店の人にばれなければよい」と解釈してしまいます。
こんなときは「売り物はまだお金を払っていないのだから○○ちゃんのものではないの。それから、もし買ってきたものに人の指跡があったら嫌でしょ。だから商品は見ているだけにしようね」とそれをしてはいけない本当の理由を話しましょう。
そうすれば、店員がいなくても、ママがその場にいなくても「してはならないこと」として鶏肉パックをブスブスと指で突くこともなくなり、更にほうれん草をちぎったり、やたら売り物を触りまくること自然消滅していくでしょう。
本来、しつけって「あの人に叱られるから○○しないようにする等、人に従うものではなく、ルールに従うもの」ですから。
脅しはどうなのか
ところで「脅す」躾のしかたはどうなのでしょう?
スマホのアプリで「子どもが怖がる鬼やお化けなどから電話がかかってくる」アプリがあります。親の言葉で子どもをコントロールできないとき「鬼から電話が来るよ!」と脅して言うことを聞かせるものです。
でも、恐怖におののかせて泣きながら従う子どもの心は?