何度、同じことを注意しても、子どもがちっとも言うことを聞かないことってありませんか?もしかして言葉だけに頼っているため、親の注意が左耳から右耳へすり抜けているのかもしれません。

『1人でできる子が育つ 「テキトー母さん」 のすすめ』の著者の立石美津子が“子どもの心に響く伝え方”をご紹介します。

年中無休でガミガミ叱っていても、「子どもが“あさって”の方向を向いてしまい、ちっとも言うことを聞かない」ってことありませんか?一度で言うことを聞かないのは“馬の耳に念仏”、子どもの心にズシンと響いていないからかもしれません。

表情、声のトーン、更に服装まで変えてしまうと効果抜群になることがあるんですよ。

“声のトーン・抑揚・リズム感”が大切

幼稚園で開かれた保護者対象の教育講演会。もし、次のような話し方をする講師だったら…しばらくして会場内ではコックリ、コックリ居眠りしてしまう保護者がちらほらいます。睡魔と戦っている人が出てきます。

  • ぼそぼそと話す 
  • 抑揚のない声で話す
  • 話の中に心地よいテンポ・リズムがない

「この講義を受けてレポートを出さなくてはならない」「テストのための講習」だったら、聴衆の姿勢も変わってくるかもしれませんが、そうではない場合、居眠りする人が出てくるのはよくある光景です。

つまり、相手を引き付けようと思ったら、話の内容もさることながら、“声のトーン・抑揚・リズム感”が大切だということ。講演会も会社でのプレゼンも学校の授業も“すべてのプレゼンは聞き手が楽しめるエンターテイメント性がなくてはならない”のです。

反対にたいした内容でもないのに、なんだか引き込まれる話し方をする講師もいます。

家庭での躾も実はこれと同じです。

子どもが側から「ああ、またいつものようにママは怒っているなあ」と思われていると、とりあえず嵐が過ぎ去るのを待って“聞いている風”を装いながら…

子どもの頭の中では

「あとであれで遊ぼう」

「おやつは何を食べようかなあ」

「昨日、登校途中に落ちていた犬の糞、今はどうなっているんだろう」

とあれこれ忙しく全く関係のないことに思いを巡らせているかもしれません。

大声を出さず、わざと小さな声で囁く

筆者はかつて子ども達に授業をしていました。そんなとき、生徒が騒がしいからと「聞こえるように、子ども達以上の声を出して叱ろう」と先生が大声を出すと、更にこれに負けじと、子どもの私語のボリュームが大きくなってしまうことがありました。

こんなときはわざと小さな声で囁きます。更に無言で教卓の前に突っ立ったりします。

筆者の微動だにしない姿を見て、子ども達は「おい、おい、立石先生が怒っているぞ、静かにしよう」となります。緊張感が張り詰める中、いつもと違うただならぬ空気を察して、子ども達どうしで注意しあい、静かになります。