昔から、子どもの「指しゃぶり」が長引くと歯並びが悪くなるてなんてことを耳にしますが、実際のところどうなのでしょうか?
また、他にも歯並びに悪影響が及ぶ行動や癖をわが子が行っていないかも気になりますよね。
そこで、今回は、指しゃぶりをはじめ、子どもの歯並びを幼少期からよくするための方法を、白金こどものはいしゃさんの院長を務める園延妙子先生に教えていただきました!
指しゃぶりの癖で歯並びが悪くなるって本当?
指しゃぶりの癖が乳幼児の頃についてしまうと、歯並びが悪くなるのは本当なのでしょうか?
園延妙子先生(以下、園延)「離乳期の赤ちゃんの指しゃぶりはまったく罪のないもので、指をしゃぶったり吸ったりする行動は、手と目と口の協調運動になり、手が自分の体の一部であるということを認識するのに役立ちます。知覚・運動機能・視覚・触覚機能の発達に役立つのが、指しゃぶりなのです。
ですので、一般的に3歳ごろまでの指しゃぶりは気にしなくて良いとされています。それ以降も指しゃぶりの習慣が長時間、長期間に渡ってくると、歯並びや骨格に影響が出てしまう可能性があります」
では、指しゃぶりを続けると、どんな歯並びになってしまうのでしょうか。
園延「子どもが指しゃぶりをしているとき、上の前歯は上前方に押し出され、下の前歯は後下方へと押さえつけられます。その結果出っ歯になったり、奥歯をかみ合わせても前歯がかみ合わない『開咬(かいこう)』という状態になる可能性があります。
さらに、指を強く吸引していると、歯列を外側から内側に押す力が働き、歯並びの横幅が狭くなる『狭窄歯列弓(きょうさくしれつきゅう)』という状態を引き起こす可能性もあります」
指しゃぶりにはどう対応すればいい?
今、わが子が指しゃぶりの癖が長引いているという場合、どのように対応すればいいでしょうか。
園延「まず、3歳ごろまでの指しゃぶりは基本的には心配しなくて大丈夫です。それ以後の指しゃぶりも、保育園や幼稚園といった子ども同士の交わりの中で社会性が芽生え、周りのものに興味を持つ中で、自然に消えていくことが多いです。
生活のリズムを整え、外遊びをしっかりさせ、家の中でも指を使って遊ぶような機会を増やしてあげましょう。
また、寝付くまでの間、子どもの手を握ってあげることで、指をしゃぶれなくなる物理的対策と安心感を与える心理的効果が得られます。
長期に渡り続く場合は、指しゃぶりで不安や緊張を解消する効果を得ている場合もありますので、寂しかったり、怒られたり、お友達と上手くいかなかったり、心に何らかの抑圧や不安があることも考えられます。
無理に急にやめさせようとするのではなく、気長に愛情と優しさを持って根気強く、いけないことだと気づかせてあげて下さい。指しゃぶりを続けているとどうなるかも理解できるようになるまで、繰り返し優しく教えてあげてください。
子どもが自分で『やめたい』と思えることがとても大切です。回数が減ったら褒めてあげましょう」
わが子の状況に応じて、対応していきたいですね。
乳幼児期に行うと歯並びが悪くなる行動
ところで、指しゃぶりの他に、乳幼児期に行うと歯並びが悪くなるリスクのある行動や癖はあるのでしょうか。
おしゃぶりの長期間にわたる使用
園延「おしゃぶりの長期間にわたる使用も、歯並びに影響与える可能性があります。離乳後のおしゃぶりは発育にとって好ましい習慣ではありません。2歳前くらいにはやめるようにしましょう」
頬杖をつく習慣など
園延「頬杖をつく習慣や、いつも同じ方向で横向きに寝る習慣、片側噛みの癖などがあると、歯並びや顎の形に影響が出る可能性があります。また口呼吸、舌を前に出す舌突出癖、唇を噛む、爪を噛むといった癖も歯並びに影響します。猫背などの悪い姿勢も顎の位置がズレる可能性があります」
こんなにたくさんあるとは驚きです。ぜひ歯並びや顎の形のことも考えて、子どもの癖に注目しましょう。