「喧嘩するほど仲が良い」とはよく言ったもの。兄弟姉妹がいると、日常的にきょうだい喧嘩が勃発し、ほほえましい気持ちで眺めることもあるでしょう。
でも、時に大きなものに発展することもあります。そんなとき、子どもたちの喧嘩にどこまで介入すべきか迷うことはありませんか?
そもそも、子どものきょうだい喧嘩って、どんな意味があるのだろう? と疑問に思うこともあるかもしれません。
そこで今回は、一般社団法人子ども子育て・教育研究所(クペリ)の代表、松永高弘さんにきょうだい喧嘩の意義や親のベストな対応について伺いました。
きょうだい喧嘩の意味って?
松永さんは、中学高校教員、幼稚園園長を長年勤めた経験を持ち、現在は子育て相談や研修、講演活動を行っています。そんな松永さんに、まずはきょうだい喧嘩とはそもそも何なのか、伺いました。
松永高弘さん(以下、松永)「喧嘩は、自分の思いと相手の思いの食い違いとぶつかり合いです。その衝突を繰り返す中で、相手の思いや考えを知り、自分の思いや考えとの違いに気づき、そのずれを調整し、解決していく力を育んでいきます。
喧嘩はそのために必要であり、重要な学びの場でもあります。『衝突からの学び』は幼児期にはとても大事なことです。きょうだい喧嘩ができる環境は恵まれています。
一人っ子は他者との間でそれを学んでいかなければなりません」
きょうだい喧嘩は、お兄ちゃんと妹、お姉ちゃんと弟、男の子同士、女の子同士で意味が変わるのでしょうか? でも、松永さんはきょうだい喧嘩に性別は関係ないと話します。
松永「幼児期は、男女を区別したり、意識させたりする必要はありません。年齢の上下も意識せず、みんな対等な人として向き合わせましょう。喧嘩は、人と人とのぶつかり合いです」
きょうだい喧嘩に対して親はどう対応するのがベスト?
きょうだい喧嘩は、子どもにとって重要なもの。でも、あまりにきょうだい喧嘩が激しかったり、いじめに発展してしまったりすると、親としては気が気ではありません。
親はどうするのがよいのでしょうか?
1.子どもの思いを言葉で表して共感する
松永「まだ言葉で伝えることがむずかしい年齢期の喧嘩は、すぐに手が出ます。叩いたり、引っかいたり、噛みついたり……。自分の思いや怒りを相手に伝えられないので、行動で表すのです。
その際、親として最も大切なことは、それぞれの思いや気持ちを分かってあげることです。
言葉で伝えられない子は、子どもの気持ちを推察して『~したかったのね』『〇ちゃんも~したかったのね』と代弁して共感しましょう。話せる子には『どうしたかったの?』と尋ねましょう」