「おひな様」のあれこれ

「お内裏様」と「おひな様」という呼び方は間違い!?

「お内裏様とおひな様~」という歌詞で有名な童謡「うれしいひなまつり」で登場するお内裏様とおひな様。お内裏様は男雛(おびな)、おひな様は女雛(めびな)というイメージがありますが、実はこれ、間違った呼び名が浸透してしまったのだそうです。

そもそも内裏(だいり)とは、天皇の私的区域の名称のこと。ひな人形はその内裏の中の紫宸殿(ししんでん)というところで行われた天皇皇后両陛下の結婚式を模しているといわれ、お内裏様は「天皇皇后(男雛と女雛)両方のことを示す」と考えられています。

「お内裏様」「おひな様」という言葉は、それぞれ男性の雛と女性の雛の一対を指す言葉ですので、この歌の通りだと「お内裏様(男雛、女雛)とおひな様(男雛、女雛)」ということで、2組計4体のお人形がいる…という意味になってしまうことも。

小さな頃から「うれしいひなまつり」を歌ってきた私たちは、お内裏様は男雛(おびな)、おひな様は女雛(めびな)と思ってしまっていたのですね!

※現代においてはお内裏様は男雛、おひな様は女雛との認識が広がっていますので混乱を防ぐため、当記事の本文では男雛を「お内裏様」、女雛を「おひな様」と表記します。

ひな人形を飾る意味

ひな祭りと言われて思い浮かぶものといえば、やはり「おひな様」!

優しい出で立ちのお内裏様とおひな様を見ると、穏やかな気持ちになりますよね。そんなひな人形を飾るのには、こんな理由があったのです。

女の子が生まれて初めての節句を「初節句」といい、その時に子どもに災いが降りかからないようにという思いが込められ贈られるのがひな人形です。

幸せになってほしいという、親から子や祖父母から孫への愛情の節句なのです。そして、毎年、ひな人形を飾ることで健やかな成長と無病息災を願います。

「おひな様」の飾り方

さて、おひな様は、どのような基準で選ぶのがよいのでしょうか。

まずは雛段飾りについてですが、七段飾りから、お内裏様とおひな様だけを飾る親王飾りがあります。

雛段飾りは七段飾りが基本形とされていますが、飾るにはそれ相応のスペースが必要となりますので、現代ではコンパクトな三段や五段の雛段飾りも人気です。お祝い事は奇数がよいとされているため、奇数段にしましょう。

三段飾りの場合は、七段飾りの「一段目(内裏雛)」「二段目(三人官女)」「七段目(雛道具)」を、五段飾りは七段飾りの「一段目(内裏雛)」「二段目(三人官女)」「三段目(五人囃子)」「四段目(随身)」「七段目(雛道具)」を活用することが多いようです。

どのような順番で並べる?

1段目

最上段には金屏風の前にお内裏様とおひな様、そして両脇には雪洞(ぼんぼり)を置きます。

関東では、向かって左側が男雛で右側が女雛、京都や関西の一部では、向かって右側が男雛で左側が女雛と飾ることもあるようです。

武士の時代には、刀をさす左側に女性がいるのは危険という考えから、右側に男雛を飾るという説があります。その地域によって男雛と女雛の位置は変わる場合があります。

2段目

2段目には三人官女を飾ります。向かって右から、三方の盃に白酒を注ぐ道具「銚子(ちょうし)」、盃を乗せる台「三方(さんぽう)」、お酒を注ぐ柄のない金属の手持ちタイプの酒器「提子(ひさげ)」を持ちます。

立ち姿の官女を左右のどちらに置いていいかわからなくなった時は、それぞれの左手をチェック! 左手の指が伸びているのが向かって左側、左手の指がものをつかむように曲がっているものが向かって右側となります。

また向かって右側に飾る官女は左足が、向かって左側に飾る官女は右足がそれぞれ少し出ているというお人形もあるそうですので、そちらも併せてチェックしてみてください。

3段目

3段目には、五人囃子を並べます。

並べ方は、向かって右から謡い(うたい)・横笛(よこぶえ)・小鼓(こつづみ)・大鼓(おおつづみ)・太鼓(たいこ)の順で、「左へ行くほど音の大きい楽器になってゆく」と覚えておきましょう。

4段目

4段目には随身(右大臣・左大臣)を配置します。向かって右が左大臣、左が右大臣になります。

左大臣の方が格上で年配者の姿をしており、右大臣は若者の姿です。