近年、乳幼児のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーが増加する中、乾燥や湿疹により肌からアレルゲンが侵入し、アレルギーを発症することが明らかになりました。

自分自身にアレルギー疾患がなくても、子どもがアレルギー疾患にかからないとは限りません。

子どもをもつすべての親が、アレルギーに関する正しい情報や知識を持っておくことが、余計な不安や心配を抱くことなく、正しい予防ケアにつながります。

そこで今回は、長年アトピー性皮膚炎等の研究をされている、岡山大学大学院・医歯薬学総合研究科・特命教授・日本小児アレルギー学会理事・池田政憲先生に、お話を伺いました。

そもそも「アレルギー」とは?

私たちの体には、細菌などの感染症微生物や異物から、身を守るための『免疫』という仕組みが備わっています。この免疫の働きが異常を起こしてさまざまな症状を引き起こしてしまう状態が『アレルギー』です。

アレルギー疾患は、ほとんどが小児期に発症します。

厚生労働省の患者調査では、喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患は、0歳から4歳までの患者が、他年代と比べて多いことが分かっています。

日本において、アレルギー疾患は国民病とまでいわれるほど、平成23年のタイミングで約2人に1人まで増えていると言われており、中でもアレルギー性鼻炎(花粉症含む)、アトピー性皮膚炎の患者数は、継続的に増加している状態です。

「アトピー性皮膚炎」と「食物アレルギー」は深く関係する

翠松堂製薬株式会社が、第一子出産を控えた女性 500 名(以下産前母親)、 第一子を1年以内に出産した女性500名(以下産後母親)を対象に実施した『乳幼児の保湿とアレルギー』に関する意識調査の中で、アレルギーや乳幼児の肌に関する情報で知っていることを聞いてみました。

すると、「食物アレルギーは、原因となる食物成分を口から取り入れることだけでなく、湿疹やかさつきのある皮膚から侵入することで発症する」ことを知っている産前母親は、たった12.4%、産後母親も23.8%だったのです。

また、「乳幼児期にアトピー性皮膚炎がある場合、成長に伴って、他のアレルギー疾患を発症する確率が高くなる」ことを知っている産前母親も、少数で16.8%、産後母親も20.2%。

肌をきっかけに、アレルギーは深刻化する可能性があります。この重要なリスクは、早急に親達が知っておくべきことなのです。