ここ数年、幼少期からの「性教育」への関心が社会的に高まっている傾向にあります。
話題の書籍、村瀬幸浩著『おうち性教育はじめます 一番やさしい! 防犯・SEX・命の伝え方』でも、幼児期からの性教育を勧めています。
すでに思春期に突入している子どもを持つ親のなかには「えっ、うちやってない……」と焦ってしまう人もいるのでは?
ですが、子どもが社会に出る前に、親ができることはまだあります。
今回の記事では、著者の村瀬幸浩先生にうかがったお話をもとに、親がやりがちなNG対応例と、思春期の子どもに性のことを上手に伝える方法をご紹介します。
性のことを教えるのはハードルが高い?親がまずしたいこと
思春期を迎えた子どもに面と向かって性のことを話すのは、ハードルが高いと感じる親は多いと思います。
それは子どもも同じで「親からだけはその話は聞きたくない」と思う子もいるでしょう。ですが、子どもが性のことを恥ずかしがったり、よくないものとして感じる根っこには、親自身のゆがんだ性の認識があるかもしれません。
村瀬先生は次のように話してくださいました。
村瀬先生(以下、村瀬)「幼少期の子どもに性のことを教えるときに出てくる、口、胸、性器、おしりなどの“プライベートパーツ”ですが、これは小さな子どもでも特別な場所だという感情がわいてくるところです。
それを子どもが“恥ずかしいところ”と思うようになるのは、親の反応や言葉による可能性があります。子どもが性器を触っていると“触っちゃいけないよ”“恥ずかしいから隠しておきなさい” などということがあるでしょう」
そもそも、親世代はそのまた親からきちんと性のことを教えてもらってきたわけではない人がほとんどですから、仕方がないといえば仕方がないのですが、悩ましいところです。
ですが、発想を転換させれば、今、親になったことをきっかけに、夫婦で、もしくはママ友同士で性のことを正しく学び直す機会を得たとも言えるでしょう。
学校には頼れない!
性教育は学校にまかせておけばいい、と思っている人もまだいるでしょうか。
『おうち性教育はじめます』では、幼児期が性教育を始めるベストタイミングだと書いてありますが、今の学校教育で性教育が始まるのは小学校3・4年生からです。
内容的にも時期的にも、日本は諸外国に比べて性教育が遅れている、と村瀬先生は言われます。欧米だけでなく、アジア諸国に比べてもそうなのだとか。
性に関する知識を早く持つと、子どもの性行為への関心が高まることを心配する向きもありますが、正しい知識があればあるほど、実際の性行為には慎重になるというオランダの例もあります。
学校側に早期の性教育に取り組む動きはあるのか、村瀬先生にお聞きしたところ、
村瀬「今のところ、学校が変わる兆しは少ないですね。指導要項に載っていないことはなかなか教えにくいのです。
ですが、教師の中にも熱意のある人がいますし、保護者が要望を出したりして、授業以外でも工夫できますし、実際に取り組んでいるところもあります」
とのことでした。まずは「性教育は学校で受けるだけではじゅうぶんではない」という認識を持った方がいいかもしれません。