性のことを教えるとき……親の態度これだけはNG!
性教育に関して、親が子どもにとってはいけない態度は大きく分けて以下の3つになります。
- 説明なく禁止すること
- はぐらかすこと
- からかうこと
親にとっても繊細なトピックだけに、まずNG事項をおさえておくことが重要です。
村瀬「一番よくないのは、納得いく話もないお説教ですね。あれはダメ、これはダメが一番いけません。
子どもがネットなどでアダルトサイトなどを見ていることがわかったら、もちろんそれはやめさせた方がいいですが、それもなぜダメなのか、その理由をきちんと言えないと子どもは納得しないでしょうね。
何も通じませんし、かえって反発するだけです」と村瀬先生。
思春期といえば、年齢的にもそんな年頃ですから、今までのような叱り方が通用しなくなってきます。
村瀬「アダルトサイトやAVには暴力的な性の表現が出てきます。それは子どもが見るものではありませんし、見せたくありません。
なぜなら中には女性を苦しめるものや、暴力的でリアルでない表現が多くみられるからです。それらの表現は愛情ではなくて“支配”です。現実にやったら犯罪です。
その区別がつかなくなると、社会に出て取り返しのつかないことをしないともいえませんから、そこは親が、できれば男の子には男親がしっかりと伝えるのが意味深いですね」
できれば子どもと同性の親が子どもに伝える方がスムーズですが、たとえばシングルマザーの家庭などでは、女性の立場に立ってしっかり話したり、信頼できる親戚や知人に頼むことも視野に入れましょう。
それも難しい場合は、本などを渡して読んでもらうのも手です。
場合によっては、子どもが学校で習った以上のことを聞いてくることがあります。
村瀬「親には、子どもの質問をきちんと受け止める力が必要です。初めからそんなことを聞くんじゃないとか、色気づいてとか、頭から否定するのはもってのほかですからね」
親はまごついてしまいますが、子どもが質問をしてくるというのは、親を信頼したいという気持ちの表れかもしれません。
村瀬「そうですよ。子どもが親に性に関する質問ができるというのは、いい親子関係だということです。どうせうちの親は答えてくれないと思ったら聞きませんからね。子どもが聞くということは、まだ親にたいして信頼を持っているということ。
だからそのことをきちんと受け止めて、質問の意味をもっと詳しく聞いたり、どうして聞こうと思った? とその質問の背景を知った上できちんと説明してあげてください」
子どもからの質問は宝ということですね。
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思春期になった子どもに対して性教育のタイミングを逸したと思っても、学校まかせにはせず、親が真摯に伝えていくのが結局はベストです。
その時には、余計な価値観をつけず、恥ずかしがらず、淡々と事実を伝えましょう。
村瀬幸浩著『おうち性教育はじめます 一番やさしい! 防犯・SEX・命の伝え方』をはじめ、書籍やサイトなどで性のことを親子で学ぶ機会は増えてきています。大人同士でつながることで、少しずつ流れも変わってくるかもしれません。
【取材協力】村瀬 幸浩さん
東京教育大学(現筑波大)卒業後、私立和光高等学校保健体育科教諭として25年間勤務。この間総合学習として「人間と性」を担当。
1989年同校退職後、25年間一橋大学、津田塾大学等でセクソロジーを講義した。
現在一般社団法人“人間と性”教育研究協議会会員、同会編集による『季刊セクシュアリティ』誌編集委員、日本思春期学会名誉会員