完結間近でまさかの打ち切り! その時、作者がとった行動は……!?

<『シャーマンキング』作品のあらすじ>
霊能力者の少年「麻倉葉」が、全知全能の力を持つ「シャーマンキング」を目指して戦いを繰り広げるバトル漫画。

1998年より「週刊少年ジャンプ」で連載が開始され、2001年にはアニメ化もされている。

 

<『シャーマンキングFLOWERS』作品のあらすじ>
2012年より「ジャンプ改」で連載がスタートした「シャーマンキング」の続編。

前作の主人公である「麻倉葉」の息子「麻倉花」を主人公に、新世代のシャーマンたちによる戦いが繰り広げられる。単行本は2014年2月現在で4巻まで発売されている。


●『世紀末リーダー伝たけし!』や『トライガン』のほかにも、連載打ち切り後に発表の場を変えて起死回生を遂げた作品は少なくない。例えば、1998年より「週刊少年ジャンプ」で連載されたバトル漫画『シャーマンキング』もそんな作品のひとつだ。

霊能力者の少年「麻倉葉」が、全知全能の力を持つ「シャーマンキング」を目指して戦いを繰り広げる本作は、少年マンガでありながら主要登場人物がバタバタと死にまくる異色作だ(しかも割とあっさり生き返る)。そんな「よく言えば斬新、悪く言えば何でもあり」な世界観がウケたのか、連載中盤ごろまではアニメやゲームにもなるほどの人気作品だった。

ところが、アニメの終了とともに原作の人気が低迷し始め、物語がクライマックスに差し掛かった連載末期、ついに打ち切りが決定する。「このマンガ何でもありだなぁ……」とツッコミを入れながら連載を楽しみにしていた読者の多くは、このクライマックス間近の打ち切り劇に“商業誌の無慈悲”を垣間見たことだろう。作者の武井宏之氏もさぞかし無念だったようで、当時発売されたコミックスの最終巻には、物語の「未完」を意味する皮肉として「みかん」のイラストが描かれている。

しかし武井氏はその後、われわれ読者にうれしいサプライズを届けてくれることになる。何と連載打ち切り後に約380ページもの加筆修正を行ない、『シャーマンキング完全版』として発表することで物語を完結させたのだ。完全版の最終回は相変わらず「何でもあり」な展開だったが(これは筆者の私見)、打ち切りに屈せずに作品にけじめをつけてくれたことが、ファンにとっては何よりうれしい。

さらに作者の武井氏は、現在「ジャンプ改」にて続編の『シャーマンキングFLOWERS』を連載しており、そちらの作品からも目が離せない。『シャーマンキング』、『シャーマンキングFLOWERS』は共に「ジャンプBOOKストア」で立ち読みが可能。連載マンガの常識を打ち破り、「何でもあり」を最後まで貫いた異端作は、マンガ好きなら一読しておいて損はないだろう。


打ち切られてなお、多くの読者に愛され続ける名作マンガ。それらの作品の背景には、打ち切りの逆境を乗り越えんとする漫画家の意地とプライドが見え隠れする。
あなたもそんな名作の数々を電子書籍で楽しんでみてはいかがだろうか。

 

 

 

株式会社エディトル所属。IT系雑誌やムックの編集業のほか、コミック、文芸、お笑い、ライフハックなど多分野の記事を執筆。絵が描けないくせにイラストのディレクションに手を出し始めた今日この頃、この仕事はなんでもありなんじゃないかと思い始めている。