マミる  出典:『魔法少女まどか☆マギカ』

頭部を失って惨死すること。ネタバレになるため具体名は伏せるが、作中に登場したある人気キャラクターの死に様が元ネタとなっている。単にむごい死に方をするだけではなく、首から上の損壊が「マミる」の必須要素と思われる。さらに絶命後、脱力した首から下の身体がぷらんぷらんと揺れる描写も加われば、正しくオリジナルの意味で「マミる」になる。

ネット上では漫画、アニメ、ホラー映画のジャンルを問わず上記のような死に方が映し出された時に「マミったあああぁ!」などとファンによって書き込みされる。サブカルチャー発祥のスラングとしては比較的新しく知名度が高いのも特徴で、「現代用語の基礎知識 2012年版」に収録されたほか、テレビ番組でも紹介された。


 

ヤムチャ視点  出典:『ドラゴンボール』

キャラクターの動きが速すぎて常人には理解できない・見えない状態(※ニコニコ大百科より引用)。ほかのワードに比べて知名度は劣り、実質的に動画サイト「ニコニコ動画」限定のスラングだが、発想がユニークなので最後に紹介したい。

ヤムチャは『ドラゴンボール』序盤から登場し、主人公より長身・イケメン・独自の拳法を使う……などライバル感あふれるキャラクターだった。アニメ版では演じる声優も主人公レベルだ。しかし周囲のパワーがどんどんインフレする中で取り残され、ストーリー中盤以降はほぼ噛ませ犬に転落。そんな彼の悲哀がこの「ヤムチャ視点」という言葉から感じられる。

ニコニコ大百科ではスピード面だけが解説されているが、実際にタグ検索してみると、上手すぎるゲームプレイ動画、熟練の武道家による演武などもヒットする。使われていくうちに本来の意味が拡張され、“レベルが高すぎて普通の視聴者には真似できない状態”を指す言葉になっているのかもしれない。


以上、代表的な“漫画・アニメのキャラクターがネットスラング化した例”を調べてみたが、こうしてみると連載(アニメ放送)スタートから20年以上になる定番タイトルを元ネタにするスラングが大半なのに気付かされる。そんな中で2011年に登場したニューフェイス『魔法少女まどか☆マギカ』が異彩を放っているのはさすがだ。

自分の生み出したキャラクター名が広く使われる――このことに原作者がどんな気持ちを抱いているかはわからないが、少なくともファンからそれだけ親しまれている証明であり、“人気のバロメーター”の1つだとは言えるだろう。果たしてこの先、大ヒットしている『ONE PIECE』や『進撃の巨人』からもスラング化されるキャラクターが登場するのか? 注目していきたい。

パソコン誌の編集者を経てフリーランス。執筆範囲はエンタメから法律、IT、教育、裏社会、ソシャゲまで硬軟いろいろ。最近の関心はダイエット、アンチエイジング。ねこだいすき。