春の新アニメ『有頂天家族2』は、森見登美彦さんの小説をP.A.WORKSがアニメ化した作品です。

2013年に放映された『有頂天家族』の続編にあたるアニメであり、約4年の時を経ての続編制作という報に歓喜したファンも多いはず。アニメ愛好家からの前作に対する評価は高く、今作も今期の注目作の一つです。

また、アニソンファン的に要注目なのが、オープニング曲に「milktub」、そして、エンディング曲に「fhana」(正式な表記は、一つ目の"a"の上にアクセントが付きます)という前作と同じアーティストを起用している点でしょう。

特に、fhanaは、『有頂天家族』のエンディング曲『ケセラセラ』でデビューを果たしたという経緯もあって、今回の新曲『ムーンリバー』は、ファンにとっても特に感慨深い一曲となっています。

ディスコ調の前作から一転、熱い曲展開に注目!

ファーストシングル『ケセラセラ』で、アニメファンに衝撃を与え、アニメソング界の"ニュースター"としてデビューを飾ったfhana。

コンスタントなシングルリリースを続けながら、次々に"ポップソング"としての完成度を更新し続ける"進化"と"深化"のバンドヒストリーに加えて、全国ツアーの成功、大型アニソンフェスへの出演、そして、『Outside of Melancholy』と『What a Wonderful World Line』という2枚のフルアルバムの発売……と、その後の快進撃については、最早言わずもがなでしょう。

アニソンシーンの"ニュースター"だったfhanaは、今や"トップスター"の一角として、我々を魅了し続けています。

今回の新曲『ムーンリバー』は、前シングルの『青空のラプソディ』に続く、2017年のリリース第二弾。前作では、ディスコ調のダンサンブルでポップなサウンドアプローチが取られていましたが、今作では、打って変わって緩急の付いた熱い展開が大きな特徴となっています。

メリハリの効いたメロとサビのコントラストも注目ポイント

四つ打ちのリズムとメロウなメロディが耳とハートを震わせるAメロから始まり、Bメロでアクセントを付け、"激情"と評したくなるほどエモーショナルなサビへと雪崩れ込む構成は、これまでのfhanaのシングル曲に比べても一際力強さを感じさせるものになっています。

打ち込みと生楽器の使い分けも含めて、メロパートとサビパートのコントラストがハッキリと付けられており、それが、リスナーの胸を奮わせるようなドラマティックな情感を呼び込む。このバンドらしいメロディの美しさにプラスして、ダイナミックな曲展開が、この曲をより印象深く、そして胸を昂ぶらせるものにしているのです。

そうした曲調に比例して、fhanaの歌姫であるtowanaさんの歌声も、今作ではよりパワフルな印象をリスナーに与えます。

曲の展開に伴って、ヴォーカルのキーに関してもかなりの高低差があるかと思うのですが、全く違和感を感じさせることなイントロからアウトロまでを走りきってみせる。そこに加えて、歌詞世界の情感をタップリと盛り込んでみせるヴォーカリストとしての表現力には、ただただ感服せざるをえません。

メロディの圧倒的なポップ感と多幸感とは対照的に、一風変わった曲展開や高音域を活用したヴォーカルなど、人懐っこさと親しみやすさにプラスして良い意味でマニアックな音楽性も武器としているfhanaの奥深さを感じさせてくれる一曲です。

デビュー曲へのセルフオマージュ的なMVも楽しい一曲!

アニソンシーンでの快進撃におけるスタートラインになった『ケセラセラ』から早数年、再び『有頂天家族』の作品世界へと戻ってきたfhana。そうしたヒストリーもあってか、今回のMVでは、『ケセラセラ』と同じ(そして、『有頂天家族』の舞台である)京都がロケーションに使用されています。

また、楽曲のタイトルに関してもポップソングのオールディーズ、スタンダードナンバーから引用するというデビュー曲に対するセルフオマージュ的な意識を垣間見ることができ(『ケセラセラ(Que Sera, Sera)』はドリス・デイが、そして、『ムーンリバー(Moon River)』は、オードリー・ヘップバーンが遺した楽曲で、どちらも映画音楽の古典として知られる)、このバンドの"回帰"と"進化"を同時に感じられるネーミングセンスが何とも粋です。

CDのリリースは、もう少し先ですが、YouTubeで映像がフル公開されていますので、そちらを観ながら音源の発売を楽しみにしておきましょう!

都内在住の極々平凡なサラリーマン兼、アニメ、音楽、プロレス、映画…と好きなものをフリーダムに、かつ必要以上に熱っぽく語るBLOG「さよならストレンジャー・ザン・パラダイス」管理人。永遠の"俺の嫁"である「にゃんこい!」の住吉加奈子さんと共に、今日も楽しいこと、熱くなれることを求めて西へ東へ。