青山宮。入り口は狭いが、奥行きがある立派な100年超えの廟

台北Webツアー艋舺編の最終回は、旅行者にはあまり知られていない穴場エリアを歩いてみよう。艋舺に足繁く通った筆者が教えるスポットをチェックしながら、地元民目線でこの土地の魅力を感じてほしい。

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  • 環南総合市場の内部。ここで外国人観光客を見かけることはまずない
  • 『一肥仔麺店』のほどよく加熱された豚レバー。臭みはなく、ショウガやパクチーなどの薬味とともに美味しくいただける
  • 外国人だとわかると、魚をつかんで目線をくれたおじさん
  • 『環南米苔目』の米苔目。米粉麺初体験ならこの店で食べてほしい
  • 市場内には簡易食堂がたくさんあるので、いい匂いがしたら食べてみよう

 

龍山寺に次ぐ魅力的な廟

艋舺(萬華)といえば龍山寺が有名だが、それとは別に、裏通りに筆者お気に入りの廟がある。観光客に人気のある龍山寺の北側に位置し、普段は人の出入りがそれほど多くないのだが、実は100年あまりの歴史を持つ『青山宮』だ。

青山宮は龍山寺から西園路をまっすぐ北に向かうと、貴陽街と交わる辺りにひっそりと存在する。一年に一度、艋舺青山祭典というお祭りの時期になると近隣から人が集まり、祀られている御神体を担いで艋舺を練り歩く巡業が行われる。艋舺が一年でもっとも賑わう時期だ。

青山宮がある辺りは艋舺の老街と呼ばれていて、古い建造物が点在しているので散歩が楽しい。青山宮は、入り口は狭いが奥行きがある立派な建物。台湾の廟らしくいろいろな神様が祀られているのだが、主に疫病を防ぐことで知られている。

一時期、コロナを封じ込めたと言われる台湾だが、もしかしたら去年あたりから参拝客が増えたかもしれない。

青山宮のおみくじ。漢字表記なのでだいたいの意味はわかるはず

1階の中庭のような場所では線香をたいてお祈りをしたり、赤い三日月型の木片でおみくじを引いたりすることができる。

街歩きや買い物をしながらぶらりと散歩がてらに立ち寄るのがネイティブ流だ。

地元民気分で利用したい麺の店

『一肥仔麺店』の外観

青山宮がある貴陽街に、地元の人たちに人気の麺店がある。青山宮から西へ十数メートル歩いた角にある『一肥仔麺店』だ。

乾麺や湯麺といったシンプルなメニューと、黒白切と呼ばれる豚肉やモツの薄切りが絶品。

飾り気のない店内には、近所の親子連れや中高年のグループなどが集う。なんでもない日の、なんでもない食事。

『一肥仔麺店』のラードかけご飯

外食が当たり前の台湾では、この店のようにシンプルなラードかけご飯(台湾の子どもたちにとっては卵かけご飯のような存在)、サッと湯がいただけの青菜、千切りショウガがそえられた豚肉のスライスなど、シンプルだが栄養バランスの取れた食事を提供してくれる店というのは実にありがたい存在。

『一肥仔麺店』のほどよく加熱された豚レバー。臭みはなく、ショウガやパクチーなどの薬味とともに美味しくいただける

豚肉のスライスや、ほんのりピンクがかった柔らかい豚レバーなど、酒の肴に最高のメニューがあるのに、ビールすら置いていないのが残念だが、これが台湾の麺店の特徴だ。

『一肥仔麺店』は夜の8時には店じまいしてしまうので、早めに入って豚肉のスライスで一杯やるのも楽しいだろう。