【台湾】一度行ってみたい!現地ツウお気に入り「ディープグルメスポット」【艋舺(萬華)編 #2】に続く、台北Webツアー艋舺編の3回目は、ちょっと異次元な体験ができる店に寄り道してみたい。
神聖な廟の脇で地元の人とちょっと一杯
本コラムのバックナンバー「台湾ロスを癒やす 日本で楽しむ台湾 Vol.1」で取り上げた映画『モンガに散る』(原題=艋舺。2010年)は、70年代の艋舺(万華)エリアを舞台にした青春映画であり、ヤクザ映画だ。
ヤクザ映画といっても、高校をドロップアウトした若者たちの友情、恋愛、そして、少しだけボーイズラブも盛り込まれていて、誰でも楽しめる作品となっている。
この映画は艋舺全域を舞台にしているが、なかでもヤクザの親分が根城にしている廟が印象的だ。艋舺に実在する清水巖祖師廟である。
艋舺を南北に走る康定路を西門町方面へ歩き、貴陽街と交わるあたりにたたずむ小さめの廟。龍山寺のような派手さはないが、趣がある。
この廟の脇で長年店を構える「沙茶牛肉大王」は艋舺に愛着をもっている中高年が集まる大衆酒場。
牛肉と青菜の炒めものや牛モツスープを安価で提供しているのだが、境内にあるのに酒が飲めることもあって、数十年来のなじみ客が集まり、昼から酒盛りの風景を見ることができる。
カジュアルな信仰心と言うか、彼らは祖師廟にお参りしたり、ちょっと頭を下げたりしてから牛肉大王に入る。
ちょっとエスニックな濃い味付けの牛肉炒めや汁に浸かったモツをビールや保力達加米酒(台湾版養命酒+焼酎)で流し込む。
筆者が数年前に著書で取り上げたこともあり、日本からの旅行者も増え、日本語のメニューも用意されている。
祖師廟を挟んだ向かい側には、夕方から深夜にかけて別の店が商いを始める。こちらはお粥を扱う小料理屋台。酒は提供しないが、勝手にコンビニで購入して飲む常連もいる。
若い姉妹を中心としたファミリー経営で、黙々と食材を用意したり、客の相手をしたりする様は、息がピッタリ合っていて動きに無駄がない。
艋舺は高齢者が多いため粥店が多い。深酒したあとはお粥が胃にやさしいのだ。