新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、それまでは当たり前だった「外遊び」がグッと減ってしまい、子どもの運動不足が気になったりしませんか?

3~6歳の未就学児の子どもをもつ全国の20~40代女性を対象とした、株式会社Ampusによる『コロナ禍の幼児の外遊び関する意識調査』によると、約8割が子どもの運動不足が気になると回答しました。

この調査結果を受けて、日本体育大学体育学部健康学科の野井真吾教授に、コロナ禍の運動不足のリスクや、外遊びの重要性について、解説していただきました。

子どもの運動不足は心にも影響がある

野井教授「子どもの外遊びが減ることによって、発育上さまざまなリスクがあります。

具体的には「身体が育たない」「生活リズムが整わない」「食欲が湧かない」ことが挙げられますが、特に「心も育ちにくくなる」ということについて注意しておきたいところです。

身体活動は、脳の前頭葉の成長に関与しています。外遊びを通じて子どもが体を動かし、ワクワクドキドキすることは、前頭葉の発達や、無意識のうちに協調性や社会性を学ぶことができる体験でもあるのです」

調査結果を見ると、新型コロナウイルス感染症の拡大前と比較して、子どもが動画を見たりゲームをしたりする時間は、約半数以上の親が「増えた」と回答。

子どもの心身の成長を考えると、この状態は、一刻も早く解決したい課題ではないでしょうか。

外遊びは“遊び”でなくてもいい!

調査結果によると、子どもが動画を見たりゲームをする時間が増加している中、発育上、外遊びは重要だと感じている親は9割以上に上りました。

一方で、いざ外遊びとなるとバリエーションがないことや、そもそも遊ぶ場所がないこと、怪我や犯罪に巻き込まれないか心配など、子どもをどのように外で遊ばせていいのか分からないという悩みや不安を抱えている親が多いこともわかりました。

そんな状態について、野井教授は「まずは子どもを外へ誘うこと」が大切だと話します。

野井教授「必ずしも、スポーツや目的がある遊びだけが外遊びではありません。

陽の光を浴びながら、何もせずに外を歩くだけでもいいのです。季節の花を見つけたり、チョウチョなど生き物を探したり、子どもは自然と動き始めます。そのすべてが外遊びです。

親が先回りして安全性を確認し、遊びも学びもすべて用意するのではなく、子どもが遊ぶ“余白”を残すことが大切です。

子どもを外へ連れ出し、見守ることが、親がやるべき第一歩です」