怒鳴らず、丁寧に諭す

本山さん「子どもを叱るときは一方的に怒鳴るのではなく、子どもの心の扉が開き、聞く耳を持てるよう丁寧に諭すことがポイントです。

叱る内容が同じでも、大人が感情的に怒鳴りつけるのと、丁寧にじっくり諭すのとでは、子どもの受け止め方も大きく異なります。

ですが、叱らなければならない場面というのは、どうしても大人が感情的になりやすい場面かと思います。

だからといって怒鳴って行動を止めさせたとしても、子どもにとっては「怒られるのが怖い」という恐怖でそうしただけに過ぎず、叱られた理由を理解し納得したわけではないので、また同じことを繰り返したり、大人がいないときに隠れて行動してしまうかもしれません。

なぜだめなのか、落ち着いて理由を説明するほうが、子ども自身が自分で考え納得できるので再発防止になり、間違いを改める力や自制心の育成にもつながります」

叱った後は必ずフォロー

本山さん「叱った後は、子どものことを想っていることがしっかりと伝わるようにフォローすることがポイントです。

子どもは親や大人に叱られると、どうしても傷ついてしまいます。自分のことが嫌いなんじゃないかと、自己肯定感が下がってしまうこともあるでしょう。

叱った直後でも、しばらく時間を置いてからでも良いので、子どもが嫌いだからではなく、大事に想っていて、愛しているからこそ間違ったことを指摘しているということを理解してもらう必要があります。

私は子どもを叱った後はその子を抱きしめたり、大好きだよと声をかけたり、一緒に楽しく遊んだりするように心がけています。

また、子どもが「ごめんなさい」と言えたときは「ちゃんとごめんなさいって言えたね」とほめたり、「謝れるのは素晴らしいことだよ」と励ましたりしましょう」

今すぐやめよう!やってはいけない叱り方

本山さん「やってはいけない叱り方は、基本的にはこれまで紹介した“伸ばす叱り方”と逆のことです。

その中でも、子どもを怒鳴りつけることはもちろんのこと、手を出すのは絶対に避けましょう。

大人の力や権力で押さえつける方法は、その場では子どもの行動を止められるかもしれませんが、子ども自身が納得していませんし、トラウマや自己肯定感の低下につながってしまいます。

大人が力で従わせようとすると、子どもも自分より弱い立場の人を力で従わせようとしてしまいます。

負の連鎖を起こさないためにも、怒鳴りつけたり体罰を与えるのではなく、叱る理由を冷静に丁寧に説明しましょう。

また、結果が伴わなかったときに叱ることもよくありません。

できなかったとしても、部分的に成長したことなどを見つけてほめてあげたり、できなかった要因を一緒に考えて、今後どうしたらいいのか考えてあげると良いです」

一般的に、大人は子どもの良いところよりも欠点やできないことが気になってしまい、何気なく叱ることが多くなってしまいがちです。

叱るときは、今回ご紹介したポイントをぜひ意識してみてください。

【取材協力】
※ 『日本財団子ども第三の居場所』…子どもたちが安心して過ごせる環境で、自己肯定感、人や社会と関わる力、生活習慣、学習習慣など、将来の自立に向けて生き抜く力を育むための、放課後の子どもたちの居場所。全国に39拠点(2021年3月現在)あり、今後5年間かけて500拠点に拡大を予定している。

広告・TV衣装を中心に活動するスタイリスト・ライター。パーソナルスタイリストを日本に普及した第一人者であり、サタデープラス、ズームインサタデー等、NHK、日本テレビ、TBS等TV番組出演・監修多数。長男の受験を機に、執筆業に重きを置く。ウレぴあ総研では、ファッションの枠を超えて、2児のママならではのリアル情報・食・旅をお届けしています。@kunie_11