台湾に暮らし始めて最初の夏、当時付き合っていた台湾人の恋人(元夫)の実家でチマキ作りを体験した。
チマキは日本人にも馴染みの深い中華料理の1つだが、自分で作ろうとはあまり思わない料理でもある。台湾や中国では、端午の節句である旧暦5月5日にチマキを食べる風習があるが、昨今では家庭で作る人が減っている。
でも、元夫の家は大家族で、親戚に料理上手で評判のおばさんがいた。
チマキは大家族のほうが断然、作りがいがある。大鍋でザクザクともち米を炒め、竹の葉を洗い、そして10本ずつ束になったタコ糸でチマキを結んでいく。
そんな1日がかりで100個ほどのチマキを作る伝統行事は、台湾で暮らした7年間、私の毎年恒例の楽しみだった。
台湾チマキに欠かせない具材とは?
台湾のチマキには欠かせない具材がいくつかある。日本の我が家でも毎年年末にチマキを作るのが恒例行事になりつつあるが、そのために日本では手に入りづらい具材を手作りする。その1つが塩漬け卵黄だ。
台湾のチマキの中に必ず入っている。黄色く輝く宝石のような塩漬け卵黄は、チマキの中でひときわ存在感を放つ。
濃厚な甘みと塩気が、味のバランスを整える。
塩漬け卵黄は、卵の黄身だけをたっぷりの塩と少量の砂糖に漬けて、冷蔵庫で乾燥させれば出来上がるので、それほど難しくない。
黄身が破れないように注意する必要はあるが、基本的には冷蔵庫で放置するだけだ。お菓子作りにも使えるので大量に作って冷凍しておくと便利。
もう1つ、チマキに欠かせないのが豚の角煮。豚バラ肉を醤油や砂糖で煮込んでおく。五香粉を少し入れるとそれらしい味になるが、実はそれよりも油蔥酥(フライドエシャロット)を少し加えたほうが台湾らしい味になる。
油蔥酥は、エシャロットをみじん切りにして油でカリカリに揚げるだけなので、こちらも作り置きしておくと何かと便利。